カモノハシグマの毒
カモノハシの突然変異体……それが『カモノハシグマ』である。蹴爪にある毒は一滴でシロナガスクジラを『十八』頭殺せる。密猟者たちに狙われても全員あの世に送ってしまうため『死神より恐ろしい死神』とも呼ばれている。
「あのよー、俺の毒は対象を自動追尾するから逃げるのは困難なんだよー。しかもよー、体内に侵入したら絶命するまで全身に激痛を与え続けるからできれば使いたくないんだよー。見てると心が痛むからー」
「だ、黙れー!」
銃弾が俺の胴体に当たったが俺の毒に喰われてしまった。
「今何かしたか?」
「ば、化け物め! あっち行け!」
「俺の家はこの先にあるんだよ。だから、お前はさっさと帰れ」
「わ、分かった。分かったからオレがこの島を出るまでそこから一歩も動かないでくれ」
「はいはい」
「絶対だぞ! 絶対だからな!」
「ああ。お前が余計なことをしなければ俺は何もしないよー」
「や、約束だぞ。ちゃんと守れよ」
「ああ」
よし! やつの巣に火をつけてから帰ろう!!
「ここがあいつの巣だな。よし、火をつけよう」
「はぁ……人間って愚かだなー」
「お、おい! 何勝手に動いてるんだよ!」
「お前が約束を破ったから俺は今からお前を殺す」
「ま、待て! これは違うんだ……。オレはお前の巣を掃除しようと……」
「そのマッチでどうやって掃除するつもりなんだ?」
「こ、これは溝をきれいにするためのものだ」
「そうか。じゃあ、今から掃除しろ。きれいになったら帰してやる」
「黙れ! 化け物! オレに命令するな!!」
「そうか。じゃあ、来世に期待するよ。それっ」
密猟者の全身に激痛が襲いかかる。もう彼は助からない。
「死んだか」
「ああ、死んだよ。なあ、星の王。いったいいつになったら人間は俺の命を狙わなくなるんだ?」
「さぁ? でも、いつかそうなるといいな」
「だな。はぁ……俺は静かに暮らしたいだけなんだけどなー」
彼はため息を吐きながら巣に戻っていった。




