1851/1940
イプシロンサム・ジョージ、降臨
ガラパゴス諸島のピンタ島に生息していたピンタゾウガメ。その最後の生き残りが『ロンサム・ジョージ』である。死亡時の年齢は百を超えておりおそらく生涯童貞である。
「相変わらずこの島は平和だなー」
この『イプシロンサム・ジョージ』は天界にいる神々の加護を受けたことで五不可説不可説転年生きられる体を手に入れた。
「長生きの秘訣は?」
「マイペースかなー」
「なるほど」
「あと激しい運動はしない。あれはあまり体に良くないからね」
「さすがですね。今日のご予定は?」
「特にないよ。今までもこれからも予定なんかない。私は私のまま自分のペースで生きていくよ」
「すばらしい生き方だと思います」
「いやいや、これを実践しようとしたら絶滅しちゃうよ」
「遅かれ早かれいつかはその時が来るんですから特に気にしませんよ」
「そうか。まあ、何事もぼちぼちやっていけばいいのさ。それじゃあ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
僕は大先輩の甲羅を撫でた後、その島から去った。




