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外食

 二人が山本家に帰ってきた時、外にはオレンジ色のカーテンがかかっていた。


「本当に時間の流れ方が違うんだな。五〜六時間はいたはずなのに」


「あそこはそういうところです。では、そろそろ夕飯の支度したくを……」


 童子わらこが最後まで言い終わる前にリビングから玄関までダッシュでやってきたものがいた。


「二人ともー! おかえりー!」


「おう、夏樹なつきか。ただい……」


 夏樹なつき雅人まさとの実の妹)は二人を黒い長髪でグルグル巻きにした。


「お、おい、夏樹なつき。苦しいから、やめてくれないか?」


「だって! さびしかったんだもん! これくらいいいでしょー?」


 まあ、それもそうだな。

 あれ? というか、白猫あいつはどこにいるんだ?


 リビングから玄関にやってきた白猫は彼の顔を見るなり、彼女の髪をつたって彼の目の前まで移動した。


「おかえり! ダーリン! 大丈夫だった? ケガとかしてない?」


「ああ、大丈夫だよ。それより、今はこの状況をなんとかしてほしいなー」


 彼が彼女にそう言うと、彼女はそこから飛び降りた。

 彼女は夏樹なつきの足元まで行くと、彼女の足を前足でフニフニした。


「あははははは! くすぐったいよ!」


「よし、今だ!!」


 彼は締め付けが弱まったすきに脱出した。


「おい! 童子わらこ! お前も早く……」


「早く……何ですか?」


 彼の背後に突如として現れた童子わらこ

 彼は童子わらこが二人いることに一瞬、驚いた。

 しかし、それが文字の力で生み出した残像もしくは分身だということに気づいたため、ほっとした。


「いや、何でもない。なあ、夏樹なつき。僕たちが向こうに行っている間、誰か来なかったか?」


「誰も来てないよー」


 そうか。


「分かった。じゃあ、今日はどこかに食べに行こう」


「え? いいの? やったー!」


 童子わらこが僕のそでをクイクイと引っ張る。


「ん? なんだ?」


「いいのですか? 夏樹なつきさんの食欲は底なし沼なんですよ?」


 彼女が小声でそう言うと、彼は小声でこう言った。


「月に一度くらいはいいんだよ。それに今日もう作る気力がないんだよ」


「大丈夫ですか? 明日から、また学校ですよ?」


 もしかして、心配してくれているのか?


「大丈夫、大丈夫。一晩寝れば、良くなるから」


「そうですか。けれど、無理はしないでください。あと何かあれば、すぐに言ってくださいね」


 優しいな。


「ああ、分かった」


 ということで、今日の晩ごはんは外食になりました。

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