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ムサンヨウチュウ、解剖されかける
霧散の練習をしていたら間違えて海岸にいたマッドサイエンティストの目の前に姿を見せてしまった『ムサンヨウチュウ』。
「ひゃー! こーなーいーでー!」
「解剖! 解剖させろー!」
彼女は霧散して逃げようとしたが霧散させる対象を自分ではなく相手にしてしまった。
「な、なんだ? わ、私の体が消えていく!」
「え? あっ、ごめん。間違えちゃった」
「ふ、ふざけるな! 早く元に戻せ!」
「私、まだ霧散を使いこなせないんだよねー」
「な、なんだとー!?」
「まあ、そのうち元に戻れるよ。多分」
「多分かよー!!」
彼はその場でじたばたしていたが数秒後に霧散した。彼女は気づいていないが今ので彼という存在と彼が生きた痕跡一切合切をこの世から霧散させた。彼がこの世に戻れる日は来るのだろうか?
「あれ? 今私、誰かにとんでもないことしてなかった? うーん、まあ、いいや。霧散の練習しようーっと」
どうやら可能性はゼロに等しいようだ。




