オニシオンデンザメ
五千年以上生きている伝説のサメ『オニシオンデンザメ』。捕獲すると一生遊んで暮らせる大金が手に入るが挑戦者は全員やつに食べられている。
「星の王よ、その……歯の手入れをしてくれないか?」
「おいおい、一時間前にやったばかりじゃないか」
「すまない。だが、取れそうで取れないのだ」
「はぁ……分かった。すぐ行くから待ってろ」
「ああ」
「『適応結界』で全身を包んで……よし、これでどこにいても活動できるな」
僕はやつを『捕獲結界』で捕まえると海中の状態を維持したまま亜空間まで運んだ。
「よし、じゃあ、やるか」
「すまない」
「いいんだよ。はい、口開けて」
「んぁ……」
沈没船とか人間の遺体があるな。
「上下左右のうち、どこが気持ち悪いんだ?」
「全部だな。あー、気持ち悪い」
「そうか。じゃあ、全部取ってやるから動くなよ」
「ああ」
数分後、歯の手入れが終了した。
「終わったぞー」
「……おー、終わったか」
「今、寝てたな」
「まあな」
「そうか。で、どうだ? 口の中さっぱりしたか?」
「ああ。だが……」
「だが?」
「せ、背中が痒い……」
「はぁ……どのへんだ?」
「全部だ」
「分かった」
こういうのを放置すると沈没船や犠牲者が増えてしまうため、やるしかないのである。




