道着の付喪神
ああ、時の流れは残酷だ。皆いつか滅んでしまう。我が家には『永久不滅拳』と『諸行無常拳』が代々受け継がれている。しかし、私は『永久不滅拳』にしか興味がない。
「父上、私は先ほど自分に『永久不滅拳』を使いました」
「な、なんだと!? それは本当か!?」
「はい」
「なんということを……待ってろ! 今『諸行無常拳』でそれを解除してやる!!」
「父上は私の憧れでした。ですが、今の父上は弱すぎます。時の流れを止めなければいつか私もそうなるでしょう。故に私は自分の体を永久に滅びないものにしたのです」
「バカ者! そんなことをしたらいつか一人になってしまうではないか!」
「一人にはなりません。私はこの力を他の生き物にも使う予定ですから」
「ま、待て! その力は私利私欲のために使うものではない! 今ならまだ間に合う。お願いだ、考え直してくれ」
「お断りします。では、私はこれで」
「ま、待て! まだ話は終わって……」
「あなたと話すことは何もありません。私はこれから私の道を歩んでいきます。今までお世話になりました。では、失礼します」
「待て……待ってくれ……我が息子よ、この道場を守れるのはお前しかいない。頼む……戻ってきてくれ」
枯れ木に用はない。あなたの時代はもう終わりました。これからは私の時代です。
「はぁ……なあ、道着の付喪神」
「なあに?」
「なんで僕が親子の問題を解決しないといけないんだ?」
「星の王に頼めばなんとかなるってあなたの幼馴染が言ってた」
羅々か……あいつ、余計なことを……。
「そうか。分かった、やるよ」
「わーい! やったー! ありがとう! 星の王!」
「あー、うん、じゃあ、あいつ追いかけようか」
「うん!!」




