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パウンドケーキの妖精
あっ、パウンドケーキの妖精がいる。
「はぁ……」
「どうした? 何か悩みでもあるのか?」
「噴水はいいよな……定期的に水吹き出すだけで生きていけるんだから」
パウンドケーキの妖精は広場にある噴水を見ながらそう言う。
「まあ、そうだな。でも、噴水はお前みたいに自由に飛び回れないぞ」
「そうか。でも、お菓子の国にはボクみたいなやつがたくさんいるからボクがいなくなっても誰も困らないよ」
「ライバル多いのって辛いよな。でも、どんなお菓子よりも君が一番好きなやつがきっといるから君がいなくなったら困ると思うよ」
「そうかなー?」
「じゃあ、一度消えてみる?」
「うーん……そこまで深刻ではないかなー」
「そうか。じゃあ、うちに寄ってから帰るといいよ。君のこと好きなやつがたくさんいるから」
「そうなのかー。じゃあ、そうしようかな」
「ありがとう。じゃあ、行こうか」
「うん!」




