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輝く戦いブリュンヒルド……のライブが始まるとゲームが終わる

 よし、じゃあ、終わらせるか。


「僕のターン。ドロー。うーん……」


「どうしたの? あのカード引けなかったの?」


「いや、なんというか今のドローで僕の勝利が確定しちゃったからなんか急につまらなくなったんだよ」


「わ、私の相棒をどうにかしないとお兄ちゃんは勝てないよー」


「それがどうにかなるからつまらないんだよ。よし、じゃあ、終わらせるか……。はぁ……」


 通常モンスターカードや魔法カードのコストはお互いのフィールドにいるモンスターの数を足した数で支払う。だから、コスト百や千を召喚するのは大変だ。だが、僕のノーマルヴァルキリーデッキは一時的にコストを無視できるものが多い。まあ、無視というか免除だな、これは。


「今さっきのドローで引いたカード『ヴァルキリー候補生』を召喚。このカードはデッキに何枚でも入れることができる」


「ふ、ふーん、そうなんだー」


「召喚時効果発動。デッキのカード全てを墓地に送る」


「やった! これでお兄ちゃんに次のターンはなくなった!!」


「ブレイン、僕とお前に次のターンは来ないよ」


「……え?」


「で、手札と墓地にあるモンスターの種族名が『ヴァルキリー』のカードを全て無条件で召喚する。が、それによって召喚されたモンスターの召喚時効果は発動できない」


「え? 全部無条件召喚? ま、まあ、いいや。召喚時効果ないから」


「安心するのはまだ早いぞー。でも、まあ、あのカードはピンチにならないとカードに触れることすらできないんだけどな。けど、手札にある魔法カード『ライフブレイカー』を使えば問題ない。このカードは自分のライフを『一』にした後、墓地にある魔法カードを全て回収できる」


「それ、なんかズルくない?」


「墓地を空にしないとあのカードを召喚できないんだよ」


「へえ、そうなんだー。でも、まだ究極モンスターカードと領域カードと合体大好きカードが墓地にあるよ」


「それら全部この魔法カードで回収できる。魔法カード『ラグナロク』。墓地にあるモンスターカードと魔法カード以外のカードを全て回収する。よし、じゃあ、そろそろ召喚するか」


 僕のライフは『一』。デッキと墓地は空。さらにフィールドにはヴァルキリーもしくは『ヴァルキリー候補生』しかいない。よし、条件オールクリア。


「ポ○ョ……じゃなくて戦乙女たちの象徴よ、今こそ戦場に顕現し、その力で我らを勝利に導け」


「く、来る……あいつが……来る!!」


「召喚。『輝く戦いブリュンヒルド』」


「みんなー! 元気ー?」


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


「いいねー、わたし元気な女の子だーいすき! あっ、もちろん星の王のことも大好きだよ?」


「ブリュンヒルド、気持ちは嬉しいが今は戦いに集中にしてくれ」


「はーい♡」


 ライブ会場は満席。ファンのペンライトはキラキラ輝き、曲に合わせて一斉に感情を爆発させる。


「みんなー! わたしと一緒に敵を倒そうねー」


『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


「みんな戦う気満々だねー。じゃあ、まずは召喚時効果発動!!」


『召喚時効果発動!!』


「わたしのー、キラキラー。あなたにー、強制・注入♡」


「え? 何? これ……」


「あー、えーっと、召喚時効果発動。ヴァルキリーと『ヴァルキリー候補生』以外のカードや能力を全てブリュンヒルドのファンにする」


「……はぁ? あっ、でも、私の相棒は相手の効果を受けないから、だいじょう……」


「すまん、ブレイン。これは能力も対象になるんだ」


「え? え? どういうこと?」


「つまりお前の相棒の周囲にあるバリアも対象になるんだよ」


「ええ……」


「バリアが魅了されたことによりお前の相棒はブリュンヒルドのファンになった」


『ブリュンヒルドちゃーん! こっち向いてー!』


「アハッ⭐︎」


『きゃー! かわいい! 灰になるー!!』


 バリアとブレインの相棒は魅了状態。それはこのゲームが終了するまで治らない。


「ちょ、ちょっと待って! 何なの? そのカード! 急にライブ始めたり敵を魅了したり無茶苦茶だよ!!」


「本当はこうなる前に終わらせたかったんだよ。でも、お前が思ったより強かったから……」


「そ、そっか……」


「ねえ、星の王。あの娘のハート撃ち抜いていい?」


「ライフな」


「そうそう! ライフ。で、どうなの?」


「いいよ。好きにしろ」


「やったー! それじゃあ、みんなー! いっくよー!」


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


「わたし、み・ん・なのアーイドールー。未来永劫」


『不滅のアイドル!!』


「だから、わ・た・しはたーたかーうー。勝ち星たくさん」


『欲しいなー!!』


「みんなー! いつも応援ありがとう! そろそろ攻撃時効果発動しちゃうよー!」


『いいよー!!』


「ありがとう! じゃあ、いっくよー!」


『攻撃時効果発動!!』


「あー、えーっと、攻撃時効果発動。一切合切ファンにしてリーダーのライフを全て撃ち抜く」


「あ、あのー、魔法カード使いたいんだけど」


「お前のデッキ、手札、墓地にあるカードは全て魅了状態だ。諦めろ」


「あー、うん、分かった」


 ブレインは全てを悟った笑みを浮かべながらそう言った。


「トドメの一撃!!」


『ズッキューン!!』


「みんなー! 明日も明後日も明明後日もわたしのライブに来てねー!!」


『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


「ありがとう! それじゃあ、まったねー!」


「お疲れ、ブリュンヒルド。もうカードに戻っていいぞ」


「やだ」


「……どうして嫌なんだ?」


「わたし、星の王のこともっと知りたい。お願い! 私をカードに戻さないで!!」


 ピ○チュウかな?


「そうか……分かった。好きにしろ」


「ありがとう! 雅人まさと! 大好き!!」


「おい……そこのヴァルキリー、私のお義兄にいちゃんに抱きつくな」


「嫌です!」


「なぜだ?」


「わたし、ずっと誰かに甘えたかったんです! でも、立場上そんなの許されなくて……だから!」


「じゃあ、私にも甘えろ」


「え?」


「お前は不器用すぎる。だから、私が色々教えてやる」


「いいんですか?」


「ああ」


「ありがとうございます! 夏樹なつきさん!」


「どういたしまして。お義兄にいちゃん、今のうちに」


「ありがとう、夏樹なつき。助かるよ」


「これくらいどうってことないよ。じゃあ、私たちもう行くね」


「ああ」


 さてと……。


「ブレイン、僕との約束覚えてるか?」


「うん、まあ」


「そうか。じゃあ、ゆっくりでいいから該当する情報を僕に伝えてくれ」


「うん、分かった」

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