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回復スピード

 童子わらこがその場で倒れそうになったため、童寝わらねさんは念力(?)で童子わらこを宙に浮かせた。

 僕はその間に童子わらこの元へと駆け寄った。

 彼が童子わらこの体を支えると、彼はこう言った。


「おい! 童子わらこ! 大丈夫か!」


「……大丈夫、です」


 顔色が悪い。

 霊力をかなり消耗しているようだ。


「大丈夫じゃないだろ! というか、なんで地獄と繋がってる門を召喚できるんだよ!」


「それは……あとで話します。今は少し……休み、ます」


 童子わらこが意識を失った。

 彼は彼女の体をする。


「おい! 童子わらこ! しっかりしろ! おい!」


雅人まさとくん、少し落ち着いて。童子わらこちゃんはちょっと疲れちゃっただけだよ」


 彼は歯を食いしばる。


「僕のせいだ」


「え?」


 彼の目から涙が溢れ出る。


「僕が鬼の力なんかを宿しているせいで、童子わらこは」


雅人まさとくん、とりあえず童子わらこちゃんを布団まで運んでくれないかな? 泣くのは、それが終わってから。分かった?」


 童寝わらねさん……そう、だな。

 今は泣いてる場合じゃない。


 *


「……童寝わらねさん。童子わらこはいつ目を覚ますんですか?」


「うーん、いつだろうねー。でも、まあ、雅人まさとくんが近くにいるから多分、今日中には目を覚ますよ。だから、童子わらこちゃんの手を握ってあげて」


 それで童子わらこが目を覚ますのなら、お安い御用だ。


童子わらこ。僕はここにいるぞ」


雅人まさとくんは童子わらこちゃんのお兄ちゃんみたいだねー」


 童寝わらねさんはニコニコ笑いながら、そう言う。


「と、唐突ですね。でも、どちらかと言うと僕は弟ですよ」


「うーん、そうかなー? 私にはお兄ちゃんが妹の手を優しく握ってるようにしか見えないけどなー」


 それ、童子わらこが聞いてたら完全に殴られてますよ。


「そう見えてしまうのは、やっぱり童子わらこの見た目がおさないからなんでしょうか?」


「座敷童子はすごく長い時を生きられるけど、見た目は小学一年生〜四年生くらいまでしか成長しないからねー。子ども扱いされずに一生を終えたっていう話は全然ないよー」


 そう、だよな。

 けど、どうして成長しないんだ?

 西洋の座敷童子は男だったり、おじいさんだったりするのに。


「ずっと幸福でいたい、不変がいい、子どもの頃が一番良かった。そういうものが私たちを作ったのだとしたら、逆に成長すると弱体化するかもしれないねー」


「発達は老化も含まれますけど、成長しているのに弱体化するのはおかしくないですか?」


 成長すれば霊力をたくさん貯蓄できる。

 それは座敷童子だって同じはずだ。


「座敷童子の場合は霊力量を増やすより、使った霊力をすぐに回復できるような体の構造になってるから、成長するとその回復スピードがどんどん遅くなっていくんだよー」


「なるほど。そういうことでしたか」


 つまり、成長するのと同時に回復スピードをなるべく良くすれば、成長した方が強くなるってことか。

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