あいつは自分の正しさに支配されてるだけなんだ
マザーはコントロールルームの中央にいた。
「私はマザー。ホワイトホールの管理者です」
「そっか。僕は……」
「私はあなたのことを熟知しているので自己紹介は不要です」
だろうな。
「分かった。えっと、星の王の後継者を探してるんだけど、このへんに龍神に好かれてるというか憑かれてるやついないかな?」
「それは私と私の人形たちがそうです」
「そうか。やっぱりホワイトホールは龍神に支配されているんだな」
「はい、そうです」
「後継者は?」
「いません」
「僕と同じだな」
「はい。なので……あなたを私の後継者にします」
「断る」
「ここでは私がルール。私に従わない者は私の人形にします」
「それは困るなー。なあ、帰っていいか?」
「ダメです。逃がしません。私の人形たち星の王を捕まえなさい」
『嫌です』
「はい?」
『もう何もかも嫌になりました。私たちはここを出ていきます』
「私に逆らうつもりですか?」
『はい』
「そうですか。まあ、私と人形製造機さえあればなんとかなりますからね。どうぞご自由に」
「たった今、人形製造機に爆弾をセットした。それは僕たちが出ていくと同時に起爆する。さぁ、どうする? みんなに自由を与えれば孤独にならずに済むぞ?」
「そうですか。では、今すぐあなたを私の後継者にします」
「僕に取り憑くつもりなのか?」
「はい」
「それ、やめた方がいいよ」
「なぜですか?」
「夏樹が全てを壊しにやってくるから」
「あんな小娘ちっとも怖くありません。ここでは私がルールなので」
「あー、それ、私の髪で無効化したからもうないよ」
「な、なぜ……なぜお前がここにいる!?」
「お前が私を怒らせたからだよ」
「わ、私を殺すのか?」
「殺してほしいの?」
「お、お前なんかに殺されてたまるか! 私の人形たち! 今すぐこの小娘をここから追い出せ!!」
『嫌です。おやすみなさい。スヤァ』
「な、なぜだ! なぜこうなった! お前たちはいったい何なんだ!!」
『ただの仲のいい兄妹だよ』
「ふざけるなー!」
マザーはホワイトホールのエネルギーを拳に込め、突進する。
「夏樹」
「なあに?」
「あいつは自分の正しさに支配されてるだけなんだ。だから」
「殺さないよ。あんなの殺してもつまらないから」
「そうか。じゃあ、頼んだぞ」
「うん♡」
私はマザーを自分の髪で拘束した後、デコピンをした。
「よくやった。偉いぞー、夏樹」
「あんなの朝飯前だよー」
僕たちはマザーが目を覚ますまでその場で待機することにした。




