質素倹約
昔は金を使いまくっていた。ギャンブル、暴飲暴食。タワーマンションの最上階にある部屋を借り豪華な家具でいっぱいにしていた。もちろんほぼ毎日きれいな姉ちゃんと夜を共にしていた。だが、あの少年に……星の王に出会ってから生き方が変わった。一言で言うと質素倹約になった。別にお金をたくさん使っても問題ない。しかし、生き物には寿命がある。自分の葬儀代や墓、借金の返済くらいはしておかないと親族を困らせることになる。お金がかからない趣味はいくらでもあるし、食べ物は生きるのに必要な栄養素を摂取していれば問題ない。
「金木さん、最近どうですか?」
「あなたのおかげで毎日幸せです」
「そうですか。それはよかった」
「あの時、あなたの話を聞かずにあの場を去っていたらと思うとゾッとします」
「でも、あなたはそうしなかった。だから、あなたはお金を使わなくても幸福を感じられるようになった」
「はい、おそらく過去の自分に見られたら文句を言われそうですが今の私には小鳥の囀りにしか聞こえません」
「柔よく剛を制すというやつですかねー」
「まあ、柔というより水ですがね」
「ですね」
「今日も平和ですなー」
「ええ。すみません、僕はこれから用があるので失礼します」
「はい。では、また」
「はい」
早く後継者が見つかるといいですなー。




