藤堂 塔子
自称『魔界のプリンセス』『藤堂 塔子』がものもらいになった。
「星の王よ」
「なんだ? 藤堂」
「藤堂ではないロイヤルタワープリンセスだ。それより我の魔眼を少し診てほしいのだが我に割く時間はあるか?」
「とうど……ロイヤルタワープリンセス。僕は医者じゃないから治せるかどうか分からないぞ」
「本当か? 皆は星の王にできないことなどないと言っていたぞ?」
「いやいや、僕にだってできないことはあるよ」
「何? そうなのか?」
「うん。僕は星に逆らえないんだよ」
「そうか。つまり、独立か買収あるいは征服のいずれかを実行し、現状を打破する必要があるのだな」
「まあ、そうなるな。なあ、姫様、眼帯を取ってくれ」
「よかろう」
「お前の目は今日もきれいだな」
「そ、そんにゃことないよ!」
「いや、きれいだよ。とっても」
「そ、そう?」
「うん、とってもきれいだよ。というか、ものもらいの場合眼帯すると雑菌が繁殖しやすくなるからやめた方がいいぞ」
「なるほど。では、我の魔眼を治す術を我に伝授せよ」
「目薬と手術、どっちがいい?」
「ど、どっちも嫌だ! 目薬も手術も怖い!」
「そうか。じゃあ、おまじないで治すか」
「呪いだと?」
「ああ、そうだ。で? どうする? 試してみるか?」
「無論だ。さぁ! 星の王よ! 我が魔眼を蝕む魔物を退治してみせよ!!」
「ああ、分かった。悪いの悪いの飛んでけー、あの山超えて飛んでけー」
「……星の王よ」
「なんだ? 姫様」
「そんな呪いで治るのか?」
「うーん、どうだろう。今すぐ女子トイレに行って鏡を見れば分かるんじゃないか?」
「そうだな。では、妖艶の紫を使うとしよう」
※ただの手鏡です。
「おお! これはすごい! 完全に治っている!」
「そうか、そうか。それはよかった」
「やはり星の王は頼りになるな。世話になった、また何かあれば声をかける。それまで精進するのだぞ」
「ああ」
き、緊張したー! でも、星の王の力すごい! 治るのに数日かかるものもらいを即完治しちゃった!!
「うちのクラスメイトって個性が強いなー。いや、うちのクラスだけじゃないな」




