串カツの神様の人生相談
串カツにつけるソースを二度漬けしたら夢の中に串カツの神様が現れた。
「お前は串カツを食べたいのか? ソースを食べたいのか?」
「く、串カツです」
「では、なぜ二度漬けした?」
「そ、それは……最近、味覚がおかしくなっているからです」
「では、内科に行け。異常がない場合、一応心療内科に行け」
「え? どうしてですか?」
「エラーを放っておいたら死ぬからだ」
「は、はぁ……でも、別に自分がいなくなっても誰も困りませんよ」
「困る。お前が死ぬとお前が住んでいる部屋が事故物件になるし、会社のイメージがダウンするし、遺体の処理やら葬儀やら……とにかく事後処理が面倒だ」
「それは……生きてる人たちがどうにかしてくれるさ」
「それは親より先に死んでもいいということか?」
「死にたい時に死なせてくれよ。俺の人生なんだから」
「お前、串カツは好きか?」
「子どもの頃から大好きだ」
「知っている。だが、最近のお前は串カツをおいしそうに食べなくなった」
「よく見てるな……」
「お前には夢があったはずだ」
「忘れたよ、そんなもの」
「そうか。では、なぜお前の部屋にゲーム開発に関する書物がたくさんあるのだ?」
「ゲームを作ったって時代の波に押し流されて数年後には忘れられてるよ」
「なら、空飛ぶ船を作れ」
「は?」
「ゲーマーの脳細胞に烙印を押すにはそれしか方法がない。ゲーマーの常識やゲーム業界の現状、今後流行りそうなジャンルなんて気にしてるうちは何を作ったってどこかで見たようなゲームになってしまう。だが、空を自由に飛び回れる船……つまり、世界中に衝撃を与えるようなゲームを作れば」
「時代の波を乗り越えられる……ってことか?」
「まあ、そういうことだ」
「なるほど。分かった。俺、やってみるよ。子どもの頃の夢を叶えるために」
「その前に体調を整えろ。命はどこにも売っていないのだから」
「分かった。ありがとう、串カツの神様」
「礼などいらん。さっさとお前がやるべきことをやれ」
「ああ!!」




