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過去と未来と星の王
赤信号なのに横断歩道を渡ろうとした少年を止めたのは盲目の青年だった。
「少年、君はいずれ僕と同じになる。だけど、見えていない方が視野が少し広くなるからあまり気にしちゃダメだよ」
「お、おう……ありがとう」
「うん。じゃあ、僕はこれで」
少年は彼の背中を見ながら目的地に向かって歩き始める。
「お疲れ様」
「星の王、あなたのおかげで彼を助けられました。ありがとうございます」
「僕はただ道案内をしただけだよ。まあ、あの子が将来君と同じことをするかどうかは分からないけどね」
「きっとそうしますよ。彼は僕自身ですから」
「そうだね」




