蝶蜂院 八代
『蝶蜂院 八代』は頭が良く、運動ができ、物腰が柔らかく、女神が嫉妬しそうな容姿をしている女子高生である。万物に好かれているらしいが本当かどうかは分からない。
「山本くん、今日の放課後空いてますか?」
僕と彼女の学年は同じだがクラスが違う。というか、エリートクラスの才女が魔境クラスなんかに来て大丈夫なのか?
「うーん、まあ、暇だな」
「そうですか。じゃあ、今日学校が終わったら私の家で天体観測をしましょう」
夏樹(僕たちの妹)、来そうだなー。
「身体計測の間違いだろ」
あー、やっぱり来たー。
「あなたが夏樹さんですね」
「だったらなんだ?」
「天体観測に興味はありますか?」
「なくはない」
「では、共に星々の輝きを堪能しましょう」
「お前は優等生すぎる。その仮面を今すぐ剥ぎ取ってもいいか?」
「私の家でならいいですよ」
「そうか。それは楽しみだ。お義兄ちゃん、こいつのこと信用しちゃダメだよ。絶対何か隠してるから」
「ああ、分かった」
「放課後になったら正門まで来てください。家の者が迎えに来ますので」
「分かった」
「分かった。早く見たいなー、お前の素顔」
「天体観測より人間観察の方が好きそうですね」
「私は基本的に人間が嫌いだ。だが、人間の化けの皮が剥がれた時にしか見られない醜い部分は大好きだ」
「なるほど」
「今のはドン引きするところだぞ、優等生」
「そうなのですか? 物好きだとは思いますがドン引きするほどではないと思います」
「そうか。じゃあ、放課後になるまでお互い程々に頑張ろう」
「ええ」
よかった、二人とも仲良くなれそうだ。




