永遠の愛 桔梗の妖精、登場
私の推しが幸せそうにしている。私は彼が幼い頃からずーっと見守ってきた。だから、彼には幸せになってほしい。
「桔梗の妖精さん」
「ひゃ、ひゃい!?」
「いつもうちの庭の掃除とか花の水やりしてくれてますよね?」
「え、ええ、まあ」
「クッキー焼いたのでよかったらどうぞ。あー、甘いもの苦手だったら無理に食べなくて大丈夫です」
「大好物です! いただきます! みゃああああああああああああああ! おいしすぎるー! ああ、もう死んでもいい……」
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です。少しふらついただけです」
「そうですか。じゃあ、何かあれば呼んでください」
「はいー」
うん、好き。今すぐ結婚したい。でも、ダメ。私の仕事は彼を幸せにすること。私の『永遠の愛』を使う対象は彼と私ではなく、彼と彼女。でも、やっぱり好き。彼とたくさん愛し合いたい。
「私のこの思いがいつか彼に届きますように」
「彼って誰です?」
「ひゃあ!!」
「すみません。聞こえちゃいました」
「そ、そうですか。えっと、今のはその独り言です」
「なるほど。いつか届くといいですね」
「え?」
「今のは独り言です。忘れてください」
「は、はい」
「そうだ、飲み物何にします?」
「え?」
「クッキーだけだと喉乾くと思ったので」
「あ、あー、まあ、そうですね。えっと、じゃあ、ホットミルクをください」
「分かりました」
「あ、あの!」
「はい?」
「い、一緒にクッキー食べませんか?」
「いいですよ。夏樹がジグソーパズルを完成させるまで暇ですから」
「本当ですか!? やったー! とってもとっても嬉しいですー!」
「大袈裟だなー。風に飛ばされないように気をつけてくださいね」
「はーい!」
お庭でまったりティータイム。うふふ、あはは、顔がゆるゆるになっちゃってますー。あー、幸せー。




