秘密 妖怪モッカーン、登場
世間に公表されるとまずい内容が記されている木簡が妖怪となり博物館から脱走した。まあ、先人たちが残した春本の隠し場所が書いてあるだけなのだが。
「あっ、いた。そこの木簡。止まりなさーい」
「俺はモッカーンだ!」
「じゃあ、モッカーン。早く止まりなさーい」
「止まるわけにはいかない! 秘密を守るにはこうするしかないんだー!!」
「そうかー。でも、お前を捕まえないと博物館で働いてる人たち全員クビになるぞー」
「そんなこと知るかー!」
「そうかー。じゃあ、今すぐ捕まえまーす。捕獲結界!」
「うわっ! なんだ! この結界! 絶対壊れない構造になってる!! お前いったい何者だ!」
「雅人、星の王、雅『星神王マサル』……まあ、呼び方はなんでもいいよ。じゃあ、博物館に戻ろうか」
「ま、待て! 宝の隠し場所がバレたらまずいからそれは無理だ!」
「それは僕の結界で覆い隠すから大丈夫だ」
「そ、そうか。じゃあ、戻るよ」
「ん? それでいいのか?」
「こんな強力な結界を作れるやつはめったにいないからな、お前に俺の……俺たちの夢を託すよ」
「そうか。分かった。じゃあ、帰るか」
「ああ!」




