木魚の音 妖怪ししゃもくぎょ、登場
ある日、お寺にいるお坊さんたちが唐突に眠ってしまう事件が起きた。それはどうやら妖怪の仕業らしい。
「一応、コーヒー飲んでいくか」
ここが事件が起きたお寺か。今のところ邪悪な妖気は感じないな。
「ポクポクポク……みんなー、おやすみー」
「ん? なんだ? 木魚の音がするぞ」
「あれー? どうしてオイラの力が効かないんだー?」
お寺の蔵から出てきたのは使われなくなった木魚が妖怪化したものだった。
「カフェイン……それを眠い時に摂取すると目が覚めるんだよ」
「へえ、そうなのかー」
「ところで君の名前はなんて言うんだい?」
「オイラの名前は『ししゃもくぎょ』! 丸いけどししゃもだからな!」
「カペリンじゃない方か?」
「ああ! そうだ!!」
「そうかそうか。なあ、どうしてお前はお坊さんたちを眠らせたんだ?」
「全員睡眠不足だったからだ」
「そうかー。でも、それはあらかじめお坊さんたちに伝えておいた方がよくないか?」
「はっ! そうか! うわあ、なんで気づかなかったんだろう」
「うん、まあ、次からはそうしてくれ」
「分かった! 約束する!」
「よし、じゃあ、僕はこれで」
「ああ! またな! あんちゃん!」




