もう答えは出てるだろ
ヘラとかいう女神が私に伝えたいことがあるようだ。
「で? 話ってなんだ?」
「夏樹ちゃんは彼と結婚したいの?」
「私がお義兄ちゃん以外と結婚するわけないだろ」
「そう。じゃあ、どうやって結婚するつもりなの?」
「言う必要あるか? もう答えは出てるだろ」
「あら、そうなの?」
「とぼけるな。『神の証』があればいつでも結婚できるだろ。お前とアレが結婚できたように神になれば問題ない……だろ?」
「そうね。でも、神様になったらいろんな神様と嫌でも顔を合わせることになるわよー」
「その時はその時だ。私たちを歓迎してくれる神には笑顔で接するが私たちを見下している神はボコボコにする」
「あははははは! あなた、最高! これなら正式な神様になっても大丈夫そうね」
「私は私の道を歩いているだけだ。邪魔するものは全て取り除く」
「あなたと話してるとなんだか体が熱くなってくるわー。よしよし、これからもその調子で頑張ってね」
「気安く触るな。人妻」
「きゃー、かっこいい! 夏樹ちゃーん! 今のセリフもう一回言ってー!」
「私に同じセリフを二度も言わせるつもりか?」
「ふぉー! 全身がしびれるー! この感じ、クセになるわー!」
ヘラ様、何かに目覚めてるな。うーん、まあ、いいや。楽しそうだから。
僕はリビングにいる二人の会話が途切れるまで家の廊下に立っていた。




