あなたは私のかわいい教え子ですから♡
美山先生は『透明化』を数分で習得した。
景色と同化するイメージをすればいいと言ったらできるようになっていたからおそらく大人になるとだいたいの人がなくしてしまう無限の想像力を先生はまだ持っているのだろう。
「ありがとうございます。これでいつでもあなたを尾行できます」
「先生、力を悪用するつもりですか? だとしたら今すぐ人間に戻しますよ?」
「冗談です。この力は誰かを守るために使います。もちろんその中にあなたも含まれていますよ。あなたは私のかわいい教え子ですから♡」
「そうしてください。じゃあ、僕はこれで」
「待ってください! これ、今朝作ったクッキーです。よかったら食べてください」
「……変なもの入れてませんよね?」
「最初は何か入れた方がいいかなーと思いましたけど愛情をたくさん入れた方がおいしくなりそうだと思ったので変なものは入れていません」
「そうですか。じゃあ、いただきます」
「ありがとうございます。あっ、そろそろ昼休み終わりますね。それは今日帰ってからゆっくり食べてください」
「はい、分かりました。じゃあ、僕は教室に戻りますね」
「私も同行します!」
「分かりました」
遠くから僕たちを監視している連中がいるな。来るなら来い。相手になってやる。




