エルピス
機械生命体の修理完了。
「さすがだな、ブレイン」
「ダメージコントロールがうまい個体だったから助かったよー」
「そうかそうか」
「それとこの娘に翻訳機を付けたからこれでみんなと会話できるよー」
「それは助かるなー」
「アルカノイド星はもうダメだ。私の星は死んでしまった。私が唯一の生き残りだ」
「そうなのか。じゃあ、うちに住むか?」
「いいのか?」
「うーん、そうだなー。夏樹ー、お前はどうだ?」
「あんた、ドッキングはできるの?」
「飛行ユニットや要塞ユニットがあれば、いつでもできるぞ」
「言い方を変えるわね。あんたは子ども作れるの?」
「私の体の一部を別の生物に移植すると私と同じ存在になれるが産卵や出産はできない」
「そう。なら、良し。この家に住んでいいわよ」
「ありがとう。夏樹」
「どういたしまして。ところでなんか武器とかないの?」
「触るな。設定を謝ればこの宇宙が消えてしまう」
「へえ、そうなんだー。というか、あんた名前ないの?」
「私はただの死に損ないだ。名前などない」
「ふーん、そうなんだ。お義兄ちゃん、この娘の名前考えてあげて」
「分かった。じゃあ……希望を意味するエルピスなんてどうだ?」
「希望? 私がか?」
「ああ、そうだ。君はアルカノイド星の唯一の希望だからエルピスだ」
「なるほど。だが、私は死に損ない。しかも戦闘用ではないから希望になれそうにないのだが」
「強くなくていい。みんなの分まで生きるのが君の仕事だ」
「そうか。では、今から最優先事項を『生存』にするとしよう」
「おう」




