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決心

 僕が帰宅すると、妹はリビングで座敷童子と遊んでいた。

 ババ抜きをしていたようだが、僕がやってくるとすぐに僕の胸に飛び込んできた。

 相変わらず可愛いな、うちの妹は。

 僕は妹の頭を撫でながら、そんなことを考えていた。

 僕が童子わらこにアイコンタクトを送ると、彼女は晩ごはんの準備を始めた。


「なあ、夏樹なつき。本当にいいのか? 僕と同じ部の部員になる必要はないんだぞ?」


 僕がそう言うと、妹は僕をソファまで誘導した。

 妹は僕をソファに座らせると、僕の膝の上に座った。


「私は……できるだけ……お兄ちゃんと一緒にいたい。だから、お兄ちゃんと同じ部の部員になるって、決めたんだよ」


「けど、うちはまだ部として生徒会に認められてないから部員になれるかは、まだ分からないんだぞ? それに表向きは主にボランティア活動を行うことになってるけど、裏では犯罪者やテロリストを成敗するんだぞ? そんな危険な部にお前を入れるなんてこと、僕にはできないよ」


 妹は僕の方に体を向けると、僕の目をじーっと見つめ始めた。


「な、なんだよ。僕の顔に何かついてるか?」


 妹は僕の頬に手を添えると、ニッコリ笑った。


「私はね、いつもお兄ちゃんに迷惑かけてるから、少しでもお兄ちゃんの手助けをしたいんだよ」


「けど、僕はそんなこと望んでない。僕は夏樹なつきに危ない目にってほしくないんだよ」


 妹は僕の額に自分の額を重ね合わせると、ゆっくり目を閉じた。


「ありがとう……私のこと、心配してくれて。でもね、いつまでもお兄ちゃんに迷惑かけたくないし、力になりたいんだよ」


「それは……とても嬉しいけど」


「けど? 何?」


 はぁ……これはもう無理だな。

 まあ、分かってたけど。


「いや、何でもない。けど、夏樹なつきのことは僕の命に変えてでも守ってみせるから、無茶はするなよ?」


「うん、ありがとう……お兄ちゃん……大好き」


 妹はそう言うと、ギュッと僕を抱きしめた。

 妹の黒い長髪が僕を包み込む。

 それは黒い毛布のようでとてもいい気持ちになった。

 まったく、どうして僕はこんなに妹に甘いんだろうな。


「ねえ、お兄ちゃん……」


「ん? なんだ?」


 妹が僕のことをチラ見しながら、僕から少し離れる。


「当たってる」


「当たってる? 何がだ?」


「いや、だから……その……」


 妹が僕の下半身のとある部分を指差す。

 僕がそちらに目を向けると、見事にテントを張っていた。


「あっ! いや、これはその……仕方ないんだよ、膝の上に座られると血流が悪くなるから、それで」


「うん、分かってるよ。でも、次はそうなる前にちゃんと言ってね?」


 まいったな……妹に恥ずかしいところを見られてしまった。


「あ、ああ、次からはそうするよ。ごめんな」


「うん……」


 少し気まずくなってしまったな。とほほ。

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