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そうなるように努力します

 次の日の朝、僕は美山みやま先生が住んでいるアパートに向かった。


「あっ、先生おはようございます」


「ひゃ、ひゃい! おはようございます!」


 ひゃい?


「先生、なんか顔赤いですよ。今日は休んだ方がいいですよ」


「大丈夫です! 私は元気です! それと昨日は色々とありがとうございました!!」


「あー、はい、どういたしまして」


「え、えっと、じゃあ、一緒に登校しましょうか」


「はい」


 夏樹なつき(僕たちの妹)は雲に乗って登校している。なんかマ○オにあんなのいたなー。


「先生、その電柱『逆柱さかばしら』です。気をつけてください。食べられちゃいますよ」


「ほ、ホントだ。危ない危ない」


「……先生、落武者の霊がこっち見てます。少し遠回りしていきましょう」


「あっ、はい、分かりました」


「……先生、このへんには『自爆虫』の巣があるので学校前の横断歩道までできるだけ音を立てないようにしてください」


「……わ、分かりましたー」


 先生は小声でそう言うと僕の制服の裾をつかんだ。


「……ここまで来れば大丈夫です」


「ありがとうございます。それとあなたが私の生徒で本当によかったです」


「ようやくいつもの先生に戻りましたね。よしよし」


「い、いきなり頭を撫でないでください! 誰かに見られたらどうするんですか!!」


「すみません。ちょうどいい位置に頭があったのでつい」


「もうー! からかわないでください!」


「先生、お義兄にいちゃんと朝からイチャイチャできてよかったですね」


「な、夏樹なつきさん! いったいどこから現れたんですか!?」


「雲の上からです」


「く、雲の上から?」


「先生、あまり深く考えない方がいいですよ。そういうものだと受け入れてください」


「は、はい、分かりました」


「先生、お義兄にいちゃんに手を出しちゃダメだよ。お義兄にいちゃんは先生の生徒なんだから」


「そ、そんなことしません!」


「恋は盲目。今の先生の言葉を信じることはできません」


「そ、そんな!」


夏樹なつき、あまり先生をいじめるな」


「いじめてないよ。先生に本音をぶつけてるだけだよ」


「似たようなものだろ。先生、気にしないでください。夏樹なつきは恋敵には一切容赦しないんです」


「そ、そうなんですね。じゃあ、私のことを嫌いになったわけではないんですね」


「嫌いですよ、泥棒猫は全員私の敵です」


「先生、今のは無視して大丈夫です。恋敵を全力で潰そうとしているだけなので」


「な、なるほど。では、今日は三人でお昼ごはんを食べましょう」


「は? なんでそうなるの?」


「私はお二人のことをもっと知りたいんです」


「知ってどうするの?」


「親密度を上げていきます」


「私を仲良くなってもムフフなシナリオは解放されないわよ」


「知ってます。でも、私が知らないあなたのプロフィールを少し見られるようになりますよね?」


「そうなるといいですね」


「そうなるように努力します」


 うん、悪くないな。早く昼休みになれー。

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