神に弱点があるのですか?
妖精にマッサージしてもらったおかげで疲労がどこかに行った。あー、体が軽いなー。
「お兄さーん、晩ごはんできたわよー……って、な、何これ……」
「どうした? セイローン。顔色悪いぞ」
「えっと、とりあえず洗面所に行って鏡見てきて」
「お、おう」
鏡を見た俺はしばらくその場でフリーズした。整いすぎている顔と細マッチョな体型が特徴的な青年が俺を見つめていたからだ。
「こいつ……誰だ?」
「ねえ、お兄さん。私がお風呂掃除してる間に何があったの?」
「えっと、商店街の福引きで肩たたき券が当たって家に帰ったら妖精が出てきて、そいつが俺の体をマッサージしてくれたんだよ」
「お兄さん……今日、商店街で福引きなんかやってないわよ」
「え? じゃあ、俺の体をマッサージしてくれたあの妖精はいったい何だったんだ?」
「私のこと呼びました?」
「うわー! 出たー!」
「呼ばれた気がしたので来ちゃいました! えっと、私に何か御用ですか?」
この妖精はたしか天界の……あー、なるほど、そういうことね。
「お兄さん、安心して。この娘は天界にいる妖精だから」
「はい、そうです!」
「そ、そうか。えっと、福引きの件についていくつか質問したいんだけどいいかな?」
「うーん、私が話すと上司に叱られるのでセイローンさんに質問してくださーい」
「そ、そうか。分かった。あっ、もう帰っていいよ」
「はーい! では、またー!」
「……セイローン、教えてくれ。俺の人生これからどうなるんだ?」
「福引きの件はもういいの?」
「それより俺の知らないところで俺の人生が誰かに決められてる気がしてならないんだよ」
なるほどね。
「お兄さん、安心して。お兄さんはお人好しな神様に愛されてるだけだから」
まあ、星の王なんだけどね。
「そ、そうなのか?」
「ええ、そうよ。それとその体は明日になれば元に戻ってるからお兄さんはいつも通り過ごせばいいと思うわ」
「そ、そうか。じゃあ、そうしようかな」
「よし! じゃあ、晩ごはんにしましょうか」
「あ、ああ、そうだな、そうしよう」
そういえばシキ(カラス)の姿がないなー。どこ行った?
*
「お久しぶりです、星の王」
「おー、久しぶり。元気ー?」
「はい、あなたに私の願いを叶えてもらったあの日から私はずっと元気です」
「そっか。で? 僕に何か用?」
「はい、私はもしもの時のために神を殺せる力を所持しておきたいのです」
「うーん、それは無理だけど神の弱点を教えることはできるよ」
「神に弱点があるのですか?」
「あるよー。でも、それを知っていたとしても勝てるかどうかは分からないよ」
「なるほど……ありがとうございます、今ので弱点が何なのか分かりました」
「今ので分かったの? すごいなー。えっと、分かってると思うけど君は彼のボディガードだから主人を守る時以外で神の弱点を狙っちゃいけないよ」
「存じております」
「よろしい。じゃあ、これからも彼のことよろしくね」
「かしこまりました。では、失礼します」
「うん、またね」
「はい、また」




