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ここが外の世界か
深夜……とある書店に置いてあるギャグ漫画の単行本の中から子どもの落書きのような女の子が現れた。
「ここが外の世界か。保護色、発動」
よし、とりあえず『すり抜け』を使ってここから出よう。
「舗装された道、動く鉄の塊。ん? この灰色の柱はなんだ?」
墓石……ではないな。等間隔に並べてあるから、おそらくこれがないと不便になるのだろう。
「こんな時間にやっている店があるのか。しかも店の中はとても明るい。よし、入ってみよう」
な、なんだ!? 扉が勝手に開いたぞ!?
「自動と書いてあるな。そうか、これは自動扉だ」
「しゃーせー。あー、今日で何連勤だろう。早く帰って寝たいなー」
食べ物や飲み物、日用品が置いてあるな。
「ほう、お菓子や本もあるのか」
「……ふわあ、誰もいないから寝てても大丈夫だよね。おやすみー」
「勤務中に寝てしまうほど疲れているのか。かわいそうに。よしよし、今日はゆっくり休め」
「はーい」
さてと、今日はこれくらいにして元の世界に帰るか。




