妖怪なら大丈夫なの?
妖怪セイローンはなぜか怒っている。俺、何かしたかなー?
「なあ、なんで怒ってるんだ?」
「別に怒ってないわよ」
「じゃあ、なんで言葉にトゲがあるんだよ」
「知りたい?」
「ああ」
「じゃあ、教えてあげる。今朝、家を出てからここに戻ってくるまでお兄さんが声優さんたちのことしか考えてなかったからよ!」
「なあんだ、そんなことかー」
「そんなこと? 私にとってはそんなことじゃないわよ!」
「そうか。じゃあ、謝る。ごめん。俺、今日ちょっと……いや、かなり舞い上がってた。まさかこんな日が来るなんて思ってなかったから」
「……そう」
「でもな、俺は今のところお前にしか心開いてないんだよ」
「どうして私だけなの?」
「それはな、俺が基本的に人と関わるのが怖いからだ」
「妖怪なら大丈夫なの?」
「ああ。じゃなきゃお前と同棲なんてしてないよ」
「ふーん、そうなんだ。へえ」
なんかセイローンの耳がピコピコ動いてるな。嬉しいのかな?
「なあ、今日の晩ごはんなんだ?」
「今日はえび串団子よ」
「わーい! やったー! 神様、仏様、セイローン様ー!」
「褒めても聖水しか出ないわよ」
「マジで! じゃあ、もっと褒めよう!」
「やめて……恥ずか死ぬから」
「そうなのか。じゃあ、やめとく」
「ありがとう。おかげで命拾いしたわ」
「どういたしまして」




