なずな先生
お兄さんは声優さんたちに囲まれて上機嫌になっている。はぁ……やっぱり私みたいなお子様体型じゃダメなのね。
「なずな先生! 私、先生の漫画全部待ってます!」
「私も持ってます!」
「私も最近揃えました!!」
「それ、本当? 嬉しいなー」
「ねえ、みんな。今日の収録終わったら飲みに行かない?」
「いいね! 行こう! 行こう!」
「先生もどうですか?」
「え? あー、うーんと」
「ダメよ。お兄さんは帰って漫画描かないといけないんだから」
「げっ! セイローン!」
「お兄さん、締め切り近いんだから早く帰らないと大変なことになるわよ?」
「そ、そうだなー。あー、じゃあ、帰るか」
「先生、その娘は先生のお子さんですか?」
「え? いや、違うよ。こいつは」
「私は妖怪セイローン。お兄さんの願いを叶えるために存在している妖怪よ」
「へえ、そうなんだー」
「ちっちゃくてかわいいね」
「飴ちゃん食べる?」
「いらない。お兄さん、帰ろう」
「え? あ、ああ。じゃあ、失礼しまーす」
「はーい」
「また来てくださいねー!」
「セイローンちゃん、またねー」
「ええ、また」
うーん、こいつなんか怒ってるな。どうしてだろう。




