邪魔しない方がいいですよ
おかしい。世界中の退治屋に依頼してるのに誰も引き受けてくれない。バックに誰かいるのか? あっ、信号青になった。渡ろう。オレが横断歩道を歩いているとすれ違いざまに「邪魔しない方がいいですよ」と誰かに言われた。
「え?」
しかし、声の主はどこにもいなかった。透明人間にでも話しかけられたのかな? まあ、いいや。オレは退治屋に依頼するのをやめて自分で退治することにした。
「……ここか。あいつが住んでるアパートは」
「はい、そうです」
「だ、誰だ!」
「通りすがりの高校生です。ところであなたが手に持ってるものは何ですか?」
「十字架と聖水だ」
「そんなものあの娘には効きませんよ」
「そ、そんなのやってみないと分からないだろ!」
「へえ、あなたはそれで誰かを傷つけようとしているんですね」
こ、こいつ!
「さぁな。じゃあな、ガキ」
「先生、あの娘に手を出さない方がいいですよ」
「なんでだ?」
「彼女は漫画が打ち切りにならない限り死なないからです」
「何!? それは本当か!?」
「はい、本当です。なので直接何かするより漫画でコツコツプレッシャーを与えていってください」
「分かった! よおし! 早く帰って面白い漫画描くぞー!!」
よしよし、うまくいったぞ。いつかそれが嘘だと気づける日が来るといいですね。




