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童子の母親
日曜の朝、雅人と座敷童子は朝食の準備をしていた。
「なあ、童子」
「何ですか?」
と、唐突ですね。
「お前って、誰から料理を教わったんだ?」
「え? あー、えーっと、母からです」
そうなのか。
「そっか。なあ、お前の母親ってさ、どんな人なんだ?」
「どんな? そうですね……私のことを娘ではなく、自分の分身だと思っている人です」
分身?
「娘扱いされてないのか?」
「まあ、そうですね。けれど、私は気にしていません。今、私がここにいられるのは母のおかげですから」
童子のお母さんか……。
見た目は童子と変わらないのかな?
それとも童子以上なのかな?
「雅人さん。一応、言っておきますが母には手を出さないでくださいね?」
「だ、出すわけないだろ! お前は僕をなんだと思ってるんだよ!」
鈍感なくせに意外とモテる罪な人です。
「別になんとも思っていませんよ。目玉焼き、完成です。みなさーん! 朝ごはんできましたよー!」
「あっ! こら! 逃げるな! おい! 童子!」
彼女は彼の言葉に耳を貸さず、スタスタと彼から離れていった。