鮫蛇さん
会議終了後。
「田中くん」
「はい、何でしょう」
編集長の鮫蛇さんは父親が鮫で母親が蛇なので見た目は怖いが内面は仏様である。
「君に任せて正解だったよ。あれなら長期連載できるよ」
「今回は彼女のおかげです」
「そうか。セイローンが先生を導いてくれたんだね」
「はい」
「そうか。やはり星の王に相談してよかった」
「そうですね。ですが、長期連載は綱渡りです。我々のサポートありでも先生にはかなりの負担がかかります」
「そうだね。けど、先生の家にはセイローンがいる。彼女がいればきっとなんとかなるよ」
「だといいのですが……」
「田中くん、何かあったらいつでも連絡していいから今日はもう帰りなさい」
「今日の仕事を終わらせてから帰ります」
「私も手伝うよ」
「いえ、結構です」
「まあまあ、そう言わずに。二人でやればすぐ終わるよ」
「はぁ……分かりました。では、よろしくお願いします」
「ああ、いいとも。さぁ、早く今日の仕事を終わらせよう」
「はい」
編集長は常に何かしてないと死んでしまう。だから、自分の仕事が終わるといつも誰かの仕事をやろうとするのだ。
*
「本当ですか!」
「はい、本当です。再来週から連載スタートするので必然的に自宅訪問する機会が増えます。なのでちゃんと掃除しておいてくださいね」
「はい! 分かりました! では、また明日!」
「はい、また明日」
「やったぞ! セイローン! お前のおかげで夢に一歩近づいたぞ!!」
「そう。よかったわね」
「なんだよ、嬉しくないのか?」
「嬉しいわよ。でも、これからは毎日辛くなるからお兄さんが壊れないか心配なのよ」
「俺にはお前がいるから大丈夫だ!」
「大丈夫……か。だといいけど」
「なんだよー、お前なんか変だぞ?」
「そう? 私はいつも通りよ」
「そうかなー」
「そうよ」
「そっかー。じゃあ、そろそろメシにするか」
「そうね。今日は何がいい?」
「ハンバーグがいい!!」
「はいはい」




