わたあめ地獄に連れて行くかな
スイーツイーターは世界中のスイーツをつまみ食いしている。やつの一口は百人前くらいあるため、このままだと世界中のスイーツがやつに食べ尽くされてしまう。
「見つけた! お兄ちゃーん! こっちにいるよー!」
「ありがとう! 夏樹! それっ! スパイラルクリーム!!」
「スイーツー」
やっぱり甘いものが好きなんだな。
「こっちだ! 来い!」
「スイーツー」
僕はやつを海まで誘導すると捕獲結界で捕獲した。
「スイーツー」
「それはお前の嫌いな苦い食べ物でできてるから食べない方がいいぞ」
「やったね! お兄ちゃん! ねえ、こいつ、どうする?」
「うーん、そうだなー。わたあめ地獄に連れて行くかな」
「そんな地獄あるの?」
「最近できたんだよ。よし、じゃあ、行くか」
「うん!」
「……夏樹はもう帰っていいぞ」
「えー、わたあめ地獄見に行っちゃダメなの?」
「いや、ダメではないけど」
「何? わたあめ地獄って危ないの?」
「いや、なんというか新しい店がオープンしたからちょっと行ってみるみたいな感じで行くところじゃないだろ?」
「お兄ちゃんと一緒ならどこだって都になるよ!」
「ほ、褒めても何も出ないぞ」
「あれ? もしかしてお兄ちゃん照れてる?」
「照れてない」
「照れてるー! かわいい! ねえねえ、ギュッてしていい?」
「……好きにしろ」
「はーい! ギュー! あー! 気持ちいい! ねえ、お兄ちゃん! このままわたあめ地獄まで行こうよ!」
「はぁ……そうだな、そうしよう」
「わーい! やったー! お兄ちゃん、大好きー!」
「スイーツー」
今のはたしかにあまあまだな。よし、じゃあ、行くか。




