糸電話と寒天の妖精とスイーツイーター
夏樹(僕たちの妹)が糸電話を作っている。見た目は普通の糸電話だが糸がかなり長い。というか、少しずつ長くなっている。
「よし! できた! お兄ちゃん! こっちの紙コップ持って!」
「お、おう」
「じゃあ、ちょっと太平洋まで行ってくるね!」
「待て。どう考えても糸の長さが足りないぞ」
「大丈夫。これ、ブレインからもらった不思議な糸だから」
「そうか。ん? 待てよ。虎姉に頼めばたくさんもらえるんじゃないか?」
「蜘蛛の糸だと虫とか鳥とかが引っかかっちゃうから不思議な糸を使ったんだよ」
「なるほど」
「それじゃあ、いってきまーす!」
「おー、気をつけてなー」
へえ、不思議な糸は扉や壁をすり抜けられるのかー。便利だなー。
数秒後。
「お兄ちゃーん! 聞こえるー?」
あっ、夏樹の声だ。
「おー、聞こえるぞー」
「あー! お兄ちゃんの声が頭の中に響いて脳の血管がサンバ踊り始めたー!」
「そうか。ちゃんと聞こえてるんだな。じゃあ、そろそろ戻ってこーい」
「はーい!」
数秒後。
「ただいまー!」
「おかえり。ん? 手に持ってるのはなんだ?」
「玉手箱だよー」
「今すぐ返してきなさい」
「はーい!」
玉手箱か……。たしかアレは何かの時間を閉じ込められる箱だったな。
「ただいまー!」
「おかえり。ん? 頭の上に何かいるぞ?」
「寒天の妖精だよ! スイーツイーターに食べられそうになってたから連れてきた!!」
「そうか。じゃあ、今からそいつを倒しに行ってくる」
「私も行く!」
「夏樹、これは遊びじゃないぞ」
「私、あいつの居場所知ってるからきっと役に立つと思うよ」
「そうか。じゃあ、そこまで案内してくれ。あとは僕が一人でやるから」
「分かった!!」




