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黒電話の怪

 死期が近づくと黒電話が現れる。あの世から電話がかかってくるとかいきなり襲いかかってくるとかそういうのはない。ただ現れるだけ。たったそれだけなのに出てきてほしくないと思うのは死にたくないからだろう。


「死刑囚三号、時間だ」


「……昨日、俺の部屋に黒電話がやってきたよ」


「……そうか」


「あの噂は本当だったんだな」


「死を恐れると出てくるらしいぞ」


「人をたくさん殺してきたこの俺が死を恐れている。あんた、そう言いたいのか?」


「いや、別に。さぁ、行こう。向こうでお前を待ってるやつらがいるから」


「はっきりあの世と言わないんだな」


「そう言ってほしいのか?」


「いや、いい。よっこいせっと。じゃあ、行くか」


「ああ」


 この日が来るのを楽しみにしていた自分がいる。あの世は本当にあるのか。天国や地獄はあるのか。鬼や閻魔大王はいるのか。あー、早く向こう側に行きたいなー。


「原さん、ちょっと」


「どうした?」


「実は……」


「……何? それは本当か?」


「はい」


「そうか。……死刑囚三号」


「なんだ?」


「お前をスカウトしたい企業というか世界があるそうだ」


「はぁ? 俺は人殺しだぞ? こんな俺を雇いたいやつなんているのか?」


「地獄だ」


「え?」


「今日からお前は地獄で働くことになる」


「はぁ? 地獄? そんなの本当にあるのか?」


「ある。あとお前は今日から鬼になる。地獄に行く前に鬼の血を渡すから飲んでおいてくれ」


「ちょ、ちょっと待てよ! 俺はまだ地獄で働くって決めたわけじゃ」


「地獄で地獄を味わうのと地獄で亡者どもを痛ぶるの、お前はどっちが好みだ?」


 なるほど。死刑囚がどうやってあの世に行くか、そのルートは複数あるってことか。


「もちろん後者だ! なってやるよ! 鬼とやらに!」


「そうか。あっ、ちなみに俺も鬼だ。ふんっ!」


「うわっ! ツノ生えた! ん? まさかここの職員全員」


「ああ、鬼だ」


「そうか。だから年中獣臭いんだな」


「そういうことだ。それじゃあ、行こうか」


「ああ!!」


 こうして俺は地獄で働くことになった。毎日亡者を痛ぶれる仕事かー。うん! 俺にぴったりだな!!

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