バランの兵隊
戦前から弁当を売っている女の子がいる。彼女は自分がすでに死んでいることを知っているが餓死しそうな人がこの世からいなくならない限り彼女はあの世に行くことができない。
「美味医ちゃん、唐揚げ弁当一つもらえるかな?」
「はい! 二百五十円になります!」
「はい、どうぞ」
「ちょうどですね! いつもありがとうございます!」
「……美味医ちゃん」
「何ですか?」
「もうそろそろいいんじゃないかな」
「何がですか?」
「もう毎日弁当を作る必要ないんじゃないかな?」
「今もどこかで誰かがおなかを空かせているはずです。なので私はこれからもお弁当を作り続けます」
「それが誰かを不幸にしているとしても?」
「……え?」
「君の弁当を高値で売っているやつらがいてね、そいつらのせいで本当に君の弁当を必要としている人のところまで弁当が届かないんだよ」
「そ、そんな……」
「君は優しいから君の弁当を買ってくれる人はみんないい人なんだと思ってるんだろうね。でも、世の中には悪い人もいるんだよ。だから」
「やめません」
「え?」
「そんなことで私はやめたりしません。どうにかしてそういう人たちが私のお弁当を買えなくなるようにします」
「美味医ちゃん、雑草は根っこごと引っこ抜かないとまた生えてくるよ」
「そうですね。うーん、でも、どうすればいいんでしょう。何かいい方法があればいいのですが」
「うーん、じゃあ、バランの兵隊でも作るか」
「バランの兵隊? あー、あの大怪獣の」
「違う」
「じゃあ、竜騎将の方ですか?」
「それも違う」
「じゃあ、ヤ○トやスリーナ○ンに登場する」
「それも違う。というか、よく知ってるな」
「北○の拳……」
「違う」
「……未来都市」
「違う」
「うーん、なんだろう。ヒントください!」
「ヒント? えーっとねー、それはお弁当の中にあります」
「お弁当の中? あー! この緑色のしきりのことですね!」
「そうそう」
「えーっと、これを兵隊にするんですか?」
「うん、そうだよ。えっと、強さはどれくらいがいいかな?」
「一部隊で国を守れるくらいでいいです」
「そうか。分かった。バランたちよ、兵士になれー」
『我らバラン兵は美味医様のお弁当が悪人の手に渡らないよう、いつでも目を光らせておきます!』
「頼もしいですねー。じゃあ、これからよろしくお願いします」
『了解しました!!』
「よし、じゃあ、僕はこれで」
「はい! また来てくださいねー!」
「はい、また来ます」
その後、彼女のお弁当は悪事に利用されなくなった。




