〇〇で世界を征服する
ドリームラバーは湖で釣りをしていた。
「見つけたぞ、ドリームラバー。さぁ、早くこの娘の夢を返すんだ」
「俺はドリームラバーの分身だ。その娘の夢は本体が持っている。それと本体は誰かの夢の中にいるぞ」
「そうか。ありがとう。でも、いいのか? お前は今、自分の主人を追い込むようなことをしたぞ」
「俺の本体はいろんなやつらの夢に侵食されてる。あれはもうダメだ。だからどうにかしてあいつを救ってやってくれ」
「分かった。ところでお前の本体は今誰の夢の中にいるんだ?」
「寝ながら歩いてる犬の中だ」
「そうか。分かった。ありがとう」
「おう」
検索。あっ、いた。なんだ、うちの近所じゃないか。
「出てこい! ドリームラバー! 私がお前を盗んでやる!!」
宇宙怪盗ロイヤルミスティーがそう言うと寝ながら道路を歩いている犬の中からドリームラバーが現れた。
「久しぶりだなー、ロイヤルミスティー。おや? 星の王と骨董品も一緒か」
「マスター! また骨董品って言われましたー!」
「メルン、落ち着け。よしよし」
「マスターに頭撫でられるの好きですー。ピキーン! 今ので自己肯定感が高まりました! さぁ! ドリームラバー! 私と戦いなさい!!」
「あー、勝ち目ないから逃げるわー」
「捕獲結界」
「あっ! ちょ! 何すんだよ! 星の王! ここから出せー!」
「じゃあ、早くこの娘の夢を返せ」
「やなこった!」
「じゃあ、お前に悪夢を見せてやろう。そーれー」
「や、やめろ! 俺の集めた夢を俺から奪うな! 待て! 行くな! 夢がない俺から他人の夢がなくなったら俺はこの世界から消えてしまう!!」
「じゃあ、早くこの娘の夢を返せ」
「はっ! 今のは夢か? うーむ、かなりリアルだったなー」
「ああ、夢だ。まあ、お前がこの娘の夢を返さない限り悪夢の内容は酷くなっていくがな」
「分かったよ、返すよ。だからここから出してくれ」
「夢だけこっちに投げろ。お前は一週間そこで反省してろ。水と食料は毎日持ってきてやるから」
「やった! ただ飯だ! よし、じゃあ、夢返すぞー」
「おう」
「行くぞー、それっ!」
「よっと。ふむ、たしかにこの娘の夢だな」
「私の……夢?」
「そうだ、これが君の夢だ。よいしょっと」
「……思い、出した!! 私の夢! それは!」
「それは?」
「かわいいで世界を征服すること!!」
「え?」
「私のかわいいでこの世界を征服する! かわいいは正義! かわいいは最強! かわいいは無限大! かわいいは最高! ありがとう! お兄さん! 今度かわいい博物館に連れてってあげるね!」
「お、おう」
「それじゃあ、またねー!!」
「……えっと、じゃあ、帰るか」
「うん」
「はい! マスター!」




