ねえ、何してるの?
プレシャスハンターたちのアジト……。
「ボス! 大変です! リーダーと先輩たちがいなくなりました!!」
「そうか。まあ、あいつらみたいなのはこの世にいくらでもいるからな、また集めればいいさ」
「ボス! リーダーと先輩たちはあなたの娘さんの病気を治すために命がけで幻の果実を追っていたんですよ! それなのにどうしてそんなこと言えるんですか!!」
「俺に娘なんていねえよ」
「……え?」
「新人、嘘を見抜けるようにならないとこの先苦労するぞ」
「……じゃ、じゃあ、あなたは幻の果実を誰に食べさせるつもりだったんですか?」
「もちろん俺だよ」
「そうですか……もういいです。今日でこのバイトやめます」
「そうか。じゃあ、死んでくれ」
「え?」
「俺はな、俺のために動かない人間が一番嫌いなんだよ。だから、俺は今からお前を殺す」
「ボス! あなたは身勝手すぎます!!」
「はいはい。それじゃあ、さようなら」
ボスが銃の引き金を引こうとした時、ボスの背後に何かが現れた。
「……ねえ、何してるの?」
「な、なんだ! お前は! 殺すぞ!!」
「あんたに僕を殺せるかな?」
「ああ! 殺せるね! 死ねー!!」
銃弾は少年の体に命中したが、それは何かに溶かされてしまった。
「な、なんだ? いったい何が起こったんだ?」
「僕の体は今、マグマなんだよ。だから、それで僕を殺すことはできないんだよ」
「だ、黙れー!!」
何回か銃声が鳴り響いた後、弾がなくなる。
「命中率はいいけど、殺傷能力が低いね」
「……だ?」
「え? なんだって?」
「いくらだ? いくら出せば見逃してもらえる?」
「お金で解決できると思ってるの?」
「ああ」
「ふーん。じゃあ、それ閻魔様の前でも言える?」
「え? あ、ああ」
「そうか。じゃあ、今から閻魔様のところに連れていくね」
「はぁ? お前みたいなガキにそんなことできるわけ」
「開け、地獄の門」
「ふぁ!?」
「どうしたの? そんなに怯えて。ほら、早く行こうよ」
「地獄になんか行くもんか! 俺はこれからもっともっと稼いで大金持ちになるんだ!!」
「ふーん。じゃあ、今のも閻魔様に言ってね」
「待て待て待て待て! どうして俺が地獄に行かなきゃならないんだよ!!」
「閻魔様があんたを呼んでるからだよ。それじゃあ、さようなら」
地獄の門がボスだけを吸い込んでいく。
「い、嫌だ! 俺はこんなところで終わるわけにはいかない! 俺はもっともっと上を目指すんだー!!」
「はいはい。じゃあ、頑張ってね」
「おい! バイト! 俺を助けろ!!」
「今までお世話になりました。さようなら、ボス」
「おい、待て。嘘だろ? この俺が! こんなところで! う、うわあああああああああああああ!!」
地獄の門が閉じる。その後、それは徐々に消えていった。
「お仕事終了。さてと、帰るか」
「あ、あの!」
「ん? 何?」
「ありがとうございました!」
「僕はお礼を言われるようなことはしてないよ」
「だとしても言わせてください! 本当にありがとうございました! スカッとしました!!」
「そう。じゃあ、僕はこれで」
「はい! ありがとうございました!!」
頼むからボスやリーダーみたいにならないでくれよ。地獄送りにしたくないから。




