野菜の国
ここは野菜の国。
「はぁ……」
「どうしたんだ? きゅうり」
「あっ、ピーマン。ねえ、どうして僕はほとんど水分なの?」
「いいじゃねえか。食べやすくて」
「僕はね、モロヘイヤ、にんじん、ブロッコリー、トマト、ナス、それに君みたいないい意味で有名な野菜になりたいんだよ」
「そうかー。でも、俺って老若男女問わず苦手なやついるから俺は来世はきゅうりになりてえよ」
「ピーマン……」
「というかさ、どこ情報なんだ? それ」
「え?」
「お前、もしかして自分は水分ばかりでほとんど栄養ないって思ってるのか?」
「う、うん」
「マジかー。よし、じゃあ先生に調べてもらおう!」
「え? 先生に?」
「ああ! そうだ! ほら、行くぞ!」
「ま、待ってよ、ピーマン」
ここはブレイン・ウィズダムのアジトの一つ。
「先生!」
「はいはーい」
「きゅうりにどんな栄養が含まれているのか調べてくれ!」
「いいよー」
「いいってさ!」
「うーん……ごめん、やっぱりいいよ」
「バカ! お前、そんなんだから毎年ナメクジに狙われるんだぞ? ほら、早く調べてもらえ」
「う、うん」
「先生! お願いします!」
「はーい」
数分後。
「結果が出たよー」
「そ、そうですか。それで? どうでした? 僕、栄養あります?」
「君、栄養あるよー」
「まあ、そうですよねー。ほとんど水分ですから……ん? 今なんて言いました?」
「君、栄養あるよー」
「ほ、本当ですか!?」
「うん。君の中にはカリウム、食物繊維、ビタミンK、ビタミンCなんかがあるよー」
「よかったな! きゅうり!」
「うん! でも、なんか僕人間界では栄養ないみたいに言われてるんですけど、アレはどういうことなんですか?」
「君は『最もローカロリーな野菜』なんだけど、いつのまにか『世界で一番栄養が少ない野菜』扱いされるようになっちゃったんだよー」
「ひ、酷い……」
「これがラタトスク現象か……」
「でも、よかったねー。栄養あるの分かって」
「そ、そうですね」
「だな! よし! 今日はうちに泊まれ!」
「え? なんでそうなるの?」
「いいから泊まれ! ごちそう用意するから!」
「そ、そう……。じゃあ、泊まろうかな」
「よおし! 決まりだな! 先生、ありがとな!」
「あ、ありがとうございました!!」
「どういたしましてー」
今日も野菜の国は平和だなー。




