あのまな板はそんなに強いのですか?
へえ、お城の中は圧縮空間なのかー。というか部屋の数、今も増え続けてるな……。まあ、欲しいものは全て神樹様に出してもらえるから趣味用の部屋や収納部屋はいくらあっても困らないだろう。
「雅人様! そろそろ温泉に入りましょう!!」
「いいですけど、まさか一緒に入るつもりじゃないでしょうね?」
「混浴は嫌いですか?」
「いや、僕は毎日混浴なので嫌いではないですけど、ただ」
「ただ?」
「別世界から来た異性とお姫様が混浴するのはまずくないですか?」
「私は気にしません!」
「いやいや、あなたはそうでも国王様や女王様が知ったら全力で止めると思いますよ?」
「もしかして雅人様の世界だと混浴すると子どもができるのですか?」
「混浴というか、そういうことができる場所でなら子どもを作れます」
「なるほど。こちらの世界だと神樹様に願えばコウノトリが届けてくれるので『そういうこと』がどういうものなのかは分かりませんが、要するに儀式のようなものをすれば子どもを作れるのですね!」
「え? あー、まあ、そうですね」
どうやらこの世界の人間は神樹様によって生み出されているようだ。
「では温泉に入りましょう!!」
「じゃあ、私も入る」
「だ、誰ですか! あなたは!!」
「落ち着きなさい! わたあめ! この人は雅人様の妹です! 何かしようとしたら許しませんよ!!」
どうやってそれを知った? まあ、神樹様の力だろうなー。
「失礼しました。姫様と同い年くらいに見えますが、年齢は雅人様と同じなのでしょうか?」
「うん、そうだよ。何? もしかして小学生か何かだと思った?」
「はい」
「正直でよろしい! お兄ちゃん、一緒にお風呂入ろう」
「ま、待ってください! 雅人様は私と」
「いい? お兄ちゃんはね、私のお兄ちゃんなの。一緒に入りたいんだったら私を倒してから」
「夏樹、その言い方はきついぞ」
「そう? じゃあ、混浴を許可する。ただし、お兄ちゃんに変なことをしようとしたら私はあんたを許さない」
「分かりました! ありがとうございます! 雅人様! 温泉はこっちです!!」
「え? あ、ああ」
「お兄ちゃん、今日も私の体を隅々まで洗ってね♡」
「わ、私もお願いします!」
「ふ、二人とも落ち着け。わたあめさーん! どうにかしてくれー!」
「はぁ……やれやれ。はい、ただいまー」
わたあめ、早く星の王を連れてきなさい。
分かっています。ですが、今は無理です。姫様たちが温泉から出るまで待っていてください。
分かりました。それとあの娘は危険です。始末しなさい。
私には無理です。あの人に勝つ方法が見つかりません。
そうですか。では、私の分体に始末させます。
複数いた方がいいと思います。
あのまな板はそんなに強いのですか?
はい、強いです。星の王である雅人様の妹ですから。
そうですか。では、分体を百体ほどそちらに向かわせます。
千体いないときついと思います。
そうですか。では、そうしましょう。通信終わり。
「わたあめも一緒に入りませんか?」
「姫様……いえ、私は結構です」
「まあまあ、そんなこと言わずに……ね?」
「姫様……分かりました。入ります」
「やったー! ありがとう! わたあめ!」
あなたの笑顔は今も昔もまぶしすぎます。そしてきっとこれからも……。




