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神樹様

 ヒーリングワールドには不幸な生き物がどこにもいなかった。世界そのものが迷い家のようなものだから必要なものは無限に出てくる。だからこの世界にお金というものは存在しない。願えば世界が出してくれるのだから。生き物の数が増えたら世界が自動的に拡張するため別の星に移住する必要はない。常備アイテムは『クロノスの懐中時計』。うん、まあ、明らかに孫がいるのに十代半ばくらいの祖父母がいる時点でね……。


「この世界に仕事はなさそうだな」


「ないですね。全員ボランティアです」


「そっかー」


 うーん、なんか僕とガイドのわたあめさんとの距離が近い気がする。気のせいかな?


雅人まさと様! あれが私の住んでいるお城です!!」


「へえ」


 デ○ズニーに怒られそうなお城だなー。


「みんなー! ただいまー!!」


「姫様!」


「姫様だ!!」


「姫様、よくぞご無事で!!」


 近衛兵たちは泣きながら姫様を出迎えた。まあ、急にお城からいなくなったからな……。


「なあ、姫様」


「何ですか?」


「これから僕は君の両親にあいさつする感じなのかな?」


「お父様とお母様は神樹様のところに行っているのでしばらく帰ってきません」


「なるほど。教えてくれてありがとう」


「どういたしまして」


 検索。あっ、これか。どうやら神樹はこの世界の中心部にあるようだ。もしこの木が枯れたらどうなるんだろう。


雅人まさと様! まずは食事にしましょう! 神樹様! 今すぐごちそうを用意してください! お願いします!!」


 出来立ての料理が大きなテーブルにポンポン出てくる。


「これ、食べても大丈夫? 見たことない食材ばかりなんだけど」


「大丈夫です! 神樹様の料理を食べてお腹を壊した人はいませんから!!」


「そうですか。あっ、ガイドさんも一緒に食べますか?」


「いえ、私は結構です」


 その直後、ガイドのわたあめさんの腹の虫が鳴った。


「姫様、少しいただいてもよろしいでしょうか?」


「好きなだけ食べていいですよー」


「ありがとうございます。では、いただきます」


 ガイドさんはおいしそうに料理を食べている。一応、毒がないか調べておこう。検索。よかった、どうやら毒は入っていないようだ。よし、食べよう。


「じゃあ、僕もいただきます」


「それじゃあ、私も!!」


「あっ、おいしい。これ、焼きそばみたいな味がする」


「焼きそば? 雅人まさと様、これは焼きそばというのですか?」


「はい。僕の世界ではそう呼ばれています」


「へえ、そうなんですかー。焼きそば……うん! おいしい!!」


 そうか。自分がどんな料理を食べているのか知らないのか。でも、どの料理も色がちょっと変だな。まあ、神樹様が出してるからな……見た目より味の方を追求したんだろう。


「あー! おいしかった!!」


「姫様、このあとはどうなされますか?」


「お城の案内をしましょう!!」


「かしこまりました。では、私が」


「私もやりたいです!!」


「では、二人でやりましょう」


「はい!!」


 この二人、仲良いな……。というか、なんとなく似てるような気がする。気のせいかな?

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