映画の結末
うーん、この映画の結末どうしようかなー。
「部長、結局主人公はソルとルナ、どっちを選ぶんですか?」
「どっちを選んでも宇宙が終わるからなー。うーん、どうしよう」
「部長はどうしたいんですか?」
「うーん、どうしたいんだろう」
うーん、ダメだ。誰かに相談しよう。
「なあ、こういう時なんとかしてくれそうなやつうちの学校にいなかったか?」
「それは多分二年の山本です」
「山本……あー、ボランティア部のあいつか」
「そうです」
「よし、じゃあ、今から会いに行くか」
「え? 映画の結末はどうするんですか?」
「山本に相談すれば決まるよー」
「本当ですか?」
「多分大丈夫だ」
「そうですか。分かりました。みなさん、部長が帰ってくるまでどちらの結末になっても対応できるように衣装や小道具を用意しておいてください」
『はい!!』
「部長、ボランティア部の部室まで一人で行けますか?」
「うん、大丈夫。じゃあ、いってくる」
「はい、いってらっしゃい」
こいつは将来、秘書になりそうだなー。
「……ここか。どうもー、山本はいるかー?」
「あっ、日央画じゃん。どしたの?」
「げっ、百々目鬼」
「何? 私がここにいたらダメなの?」
「いや、別にそういうわけじゃ……。というか、山本はどこにいるんだ?」
「雅人ならさっき帰ったよ」
「マジかー。じゃあ、あいつの家まで行くしかないなー」
「あんた、雅人の家がどこにあるのか知ってるの?」
「知らない」
「じゃあ、私にあんたの悩み聞かせて。雅人に伝えておくから」
「そうか。じゃあ、頼む。あいつに俺たちが作ってる映画の結末を考えてほしいって伝えてくれ」
「それはあんたの仕事でしょ」
「まあ、そうだな。でも、今のままじゃどうやってもバッドエンドになるんだよ」
「じゃあ、そうならないようにすればいいじゃない」
「いやいや、どっちか選ばないと宇宙戦争終わらないんだよ」
「そんなの第三勢力出せばいいじゃない」
「それだと今回で完結しないんだよ」
「無理に終わらせようとするからダメなのよ。区切りのいいところで終わらせないと」
「そうか、その手があったか。うーん、じゃあ、主人公の妹を第三勢力にしよう」
「え? 何それ」
「いいんだよ、妹を何かの依代にすれば。ありがとな、百々目鬼。これで今回はなんとかなりそうだ」
「そう。まあ、頑張ってね」
「おう。じゃあ、またなー」




