白身魚のフライ
親父は俺のじいちゃんが作った白身魚のフライの味を再現できず困っている。
「なあ、どうにかしてくれよ、まさえもん」
「ここは練馬区じゃないんだが」
「まあまあ、そう言うなよ。頼む! クラスメイトの親父の悩みを解決してくれ!!」
部室の窓から夕日が見える。明日はきっと晴れだな。
「なあ、魚田。お前はその料理食べたことあるのか?」
「え? ああ、小さい頃から食べてるぞ」
「そうか。じゃあ、なんで親父さんがじいさんの味を再現できないのか分かるか?」
「そんなの分からねえよ。なんでだ?」
「それはな、親父さんがじいさんのことを考えながら作ってるからだ」
「どういうことだ?」
「人は何かを食べないといずれ餓死する。特に水がないとかなりきつい。でも、自分で何かを作るのは面倒。そんな時、ふらっと立ち寄った店の料理があんまりおいしくなかったらお前はどうする?」
「一応、残さず食べるよ。でも、また来ようとは思わないな」
「そう。だから、料理人はお客さんのことを第一に考えてまた来たいと思わせないといけないんだよ。そうしないと店が潰れるから」
「そうか。つまり今の親父はじいちゃんのことばかり考えてるからダメだってことだな」
「まあ、そうなるかな。あー、それと誰かの味を追求するよりお客さんが喜んでくれる味を出せるようになった方がいいって親父さんに伝えてくれ」
「分かった! サンキュー! まさえもん!」
「まさえもん言うな」
「へいへい。じゃあな! 雅人!!」
「ああ」
「……まさえもーん」
「羅々、またお前の仕業か」
「うん、そうだよ」
「はぁ……お前はいつもそうだよな。僕に厄介ごとを押しつけて自分は見てるだけ」
「そうだねー。でも、私の目の力がないと困るでしょ?」
「まあ、そうだな」
「だよねー。ということでこれからもよろしくね」
「はいはい」




