赤い傘
とある学校の教室。
今日はずっと雨降ってるなー。土砂降りだー。
「ねえ、あの噂知ってる?」
「知ってるー。こういう雨の日に赤い傘を刺した髪の長い女が現れるんでしょー?」
「そうそう。それでその人と目が合うと」
「目が合うとどうなるんだっけ?」
「どこかに連れていかれちゃうんだってー」
「やだー、こわーい」
ふん、バカバカしい。そんな噂、作り話だよ。
放課後、私が一人で下校していると前方から赤い傘を刺した髪の長い女が近づいてきた。私はその場で立ち止まり、その人が通りすぎるのを待つことにした。えーっと、目を合わせちゃいけないんだよね。よし、目を閉じておこう。あれ? おかしいな。なんか足音が私のすぐそばで止んだような気がする。気のせいかな? 私がゆっくり目を開けるとそこにはこちらを見ている赤い瞳があった。
「きゃー!!」
「え? あっ、ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったの」
「え? 私をどこかに連れていくんじゃないの?」
「私はそんなことしないよ」
「じゃあ、あなたは何なの?」
「彼女は雨女だよ」
「そう、私は雨女」
「そ、そうなんだ。というか、あんた誰?」
「通りすがりの妖怪研究家だよ。じゃあ、気をつけてね」
「え? あー、うん」
「あれは星の王よ」
「星の王?」
「そう。この星のために色々頑張ってくれてる存在なのよ」
「へえ、そうなんだ。えっと、じゃあ、またね、雨女さん」
「ええ」




