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悪魔の手帳

 空き地に落ちていた一冊の手帳。私は手帳の汚れを手で払うと手帳を開いた。どうやら未使用の手帳のようだ。どうしよう、交番に届けようかな? うーん、でも、名前書いてないんだよなー。よし、持って帰ろう。


「……ひひひひ」


「ただいまー。おーい、ノワールー、寝てるのー?」


「にゃー」


「なあんだ、起きてたのか。寝顔見ようと思ったのに」


「にゃー」


「え? これ? これね、さっき空き地で拾ったんだー」


「フー!!」


「え? 何? なんで怒ってるの?」


「ふみゃー!」


「ちょ! ノワール! どうしたの? おなか空いたの?」


「ふみゃー!!」


「キャ!!」


 私が手帳から手を離すとノワールは私の胸に飛び込んだ。


「にゃー♡」


「なになに? 急にどうしたの? あっ、もしかして手帳に嫉妬してたの? もうー、かわいいなー」


「おい! 手帳を拾え!」


「え? 今の何? 幻聴?」


「手帳を拾え! 早く!」


「私、しゃべる手帳なんていらない! ノワール! 手帳を追い出すの手伝って!!」


「にゃー!」


「ま、待て! お前の願いをなんでも叶えてやるから俺様を捨てるな!!」


「えー、うーん、どうしよう。悩むなー」


「にゃー!」


「あっ、ごめん。ノワールが嫌がってるから捨てるね」


「あっ! こら! 待て! 俺様を捨てるな! う、うわあああああああああ!!」


「あー、疲れた。ごはん食べよう」


「にゃー」


「ノワールもおなか空いたの?」


「にゃー」


「そうかそうか。じゃあ、一緒に食べよう」


「にゃーん」


 くそー! また捨てられた! これで何度目だ?


「諦めてもう魔界に帰った方がいいんじゃない?」


「ほ、星の王! なんでこんなところに!?」


「僕はただ邪悪な気配の発信源を潰しに来ただけだよ」


「や、やめろ! 俺様はまだ悪魔見習いなんだ! だから今回だけは見逃してくれ!!」


「その手帳に願いごとを書くと命と引き換えに願いを叶えてくれるんだろう?」


「な、なぜそれを!? あっ……」


「あれあれー? 悪魔見習いってそこまでしていいんだっけ?」


「う、うるさい! 黙れー! くらえ! デビルミスト!!」


「うわー、何も見えなーい」


「よし! 今のうちに!!」


「ねえ、お兄ちゃん。こいつ、やっちゃっていい?」


夏樹なつき、それは魔界にいるそいつの担当が決めることだからお前はそいつを魔界まで飛ばすだけでいいぞー」


「はーい」


「お、おい! 待て! 俺様はまだ何もしてな……」


「魔界まで飛んでけー!」


「うわあああああああああああああああああ!!」


 彼はしばらくの間、魔界で強制労働させられることになった。これで千年くらいは大丈夫だろう。

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