風の娘ちゃんは遊びたい
「ばびゅーん!」
彼女はそう言いながら縦横無尽に走り回っている。地球を軽く百周くらいしたのち、彼女はエベレストのてっぺんで「やっほー!」と叫んだ。
「風の娘ちゃん、そろそろ帰ろう」
「やだ! まだ遊ぶ!!」
「でも、もうそろそろ君のお母さんが家に帰ってくるよ。留守番してないことがバレてもいいの?」
「うん、いいよ! さーてと! 思う存分遊ぶぞー! ばびゅーん!」
「はぁ……やれやれ」
一応、このことを彼女の母親に伝えておくか。
「あー! 楽しい! 私は今、自由だー!!」
あっ、ミサイル飛んできた。風の娘、気づいてるかな?
「雅人! アレ壊そう!!」
「戦争の火種になるからやめてほしいな」
「えー、つまんなーい。というか、私を狙ってるあのダーツは何なの?」
「ミサイルだよ」
「あんなの何発あっても私を止められないよ! ばびゅーん!」
まあ、自然現象が服着て走ってるからな。もし当たっても少し飛ばされるだけだろう。
「……ねえ、もう夕方だよ。そろそろ帰ろうよ」
「やだ! まだ遊ぶ!」
「そうか。じゃあ、君は一生家に帰らないんだね」
「え? いや、あと二、三日したら帰るよ」
「いやいや、今日中に帰ろうよ。きっと君のお母さん心配してるよ」
「私と遊んでくれないお母さんのところになんて一生帰りたくない!!」
「そうか。分かった。じゃあ、君のお母さんにそう伝えておくね」
「え? ちょ、ちょっと待って! 今のなし! なかったことにして!!」
「一生帰りたくないんだろう?」
「そ、それは」
あー、ちょっと泣きそうになってるな。よし、もうこれくらいにしておくか。
「はぁ……帰ろう」
「え?」
「遊びたくなったらいつでも僕を呼べばいい。でも、お母さんを悲しませるようなことはしないでほしい」
「うん、分かった」
「本当に?」
「うん、本当だよ」
「そうか。じゃあ、帰ろうか」
「うん!!」




