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私のかわいいかわいい子どもたちが世界の敵にならないように教え導いてください

 放課後、視聴覚室に母がやってきた。相変わらず神出鬼没だなー。


「お母さん! 黒百合先生が普通の人間って本当なの!?」


 夏樹なつき……その言い方だと普通の人間だったら異常みたいに聞こえるぞ。


「ええ、本当よ。あー、あと雅人まさとのお嫁さん候補よ」


「はぁああああああああああああああああああ!?」


 夏樹なつき、驚きすぎだ。


「なんで! どうして! お兄ちゃんのお嫁さんは生まれる前から私って決まってるでしょ!?」


「そうなんですか?」


「先生、夏樹なつきの話はほぼスルーして大丈夫です。ブラコンがブラコンしてるだけなので」


「なるほど。マラソン選手がマラソン大会に出場してコースを走っているようなものなのですね」


「え? あー、まあ、そんな感じです」


「お母さん! お兄ちゃんのお嫁さんは私だよね! ね!」


夏樹なつき、先生はお嫁さん候補だからあなたが見張っている限り抜け駆けはできないからそんなに警戒しなくても大丈夫よ」


「え? あー、うーん、まあ、そうだね。でも! 先生の守護霊は異常だよ! 何なの! これ!!」


「先生の守護霊は絶対に夢に出てきてほしくない容姿と自動で発動するとんでもない能力のせいでいろんな世界から出禁にされた伝説の守護霊でね、理想の主人を探してずーっと旅をしていたのよ」


「へえ、そうなんだ。で? アレはなんで先生の守護霊になったの?」


「守護霊相談所の掲示板に守護霊募集の張り紙があってですね、私がその紙を受け付けに持っていったら黒百合様の守護霊になりました」


「あっ、それ私が作ったものよ」


 母さん……。


「え!? そうなんですか!? いやあ、あの時は本当に助かりました。あなたのおかげで私は理想の主人を見つけることができました。本当にありがとうございます」


「どういたしまして」


 これは多分、アレだな。容姿、性格、能力だけじゃなくて強さもお嫁さん候補には必要なんだろうな……。


「ということで夏樹なつき、今日から先生と仲良くするのよ」


「はーい」


雅人まさと


「ん? なに?」


「先生と一線を超えないようにするのよ」


「そんなことしないよ」


「えー」


「期待するなよ……」


「冗談よ。それじゃあ、またね」


「ああ」


「うん、またね」


「それと黒百合先生」


「はい」


「私のかわいいかわいい子どもたちが世界の敵にならないように教え導いてください。よろしくお願いします」


「私のようなただの人間に何ができるのかは分かりませんが教師としてできることを精一杯やらせていただきます」


「そうしてもらえると助かります。では、失礼します」


 母はそう言うとその場からいなくなった。よし、じゃあ、帰るか。

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