私はどんなにあなたの顔が醜くても私を一生守ってくれるあなたに一生感謝し続けます
夕方……視聴覚室……。
その部屋の隅に深海魚を全部組み合わせたかのような見た目の守護霊が丸くなっている。それは『美山 黒百合』(僕のクラスの担任)のもので彼女の願いはそれと直接会ってお話ししたいというものなの。僕は彼女の願いを叶えるために文字の力でそれを『可視化』させ、彼女をそれがいる場所まで案内した。
「こんにちは。あのー、私あなたとお話ししたいんですけどダメ、ですか?」
「……ダメじゃない」
あっ、普通にしゃべれるんだ。
「そうですか。では、私にあなたの素顔を見せてください」
「……こんな醜い顔をあなたに見せたくない」
「私はどんなにあなたの顔が醜くても私を一生守ってくれるあなたに一生感謝し続けます。なので思い切って私に顔を見せてください」
「……黒百合様」
「お願いします。私にあなたの顔を見せてください。そしてたくさんお話ししましょう」
「……分かり、ました」
「よろしい。では、せーので振り向いてください。せーの!」
「……はい」
守護霊の顔を直視した先生は優しい笑顔を浮かべながら守護霊の両頬に手を添えた。
「私の守護霊さん。あなたの顔は魚に似ているだけで全然醜くありません。なので、あなたは一生このままでいてください」
「……黒百合様! はい! かしこまりました! 私はこれからも整形せずにあなたの心身を全力で守ります!!」
「そうしてもらえると嬉しいです」
「フォー!!」
彼女の守護霊は嬉しさのあまり泣き出してしまった。
「よかったですね、先生」
「はい。ところで私がここに来た時からずーっと天井にへばりついているのは誰ですか?」
「へえ、気づいてたんだ」
僕はこの怖いくらい手入れが行き届いてる黒い長髪をよく目にする。だって、その髪の持ち主は僕の妹なのだから。
「なあ、夏樹。なんでお前がここにいるんだ?」
「私以外の女がお兄ちゃんのそばにいる時、私は必ずお兄ちゃんのそばにいるよ」
「そうか。まあ、そうだな。でも、先生の願いはもう叶えたんだから僕はもう用なしだろ?」
「甘いよ、お兄ちゃん。この人は女性なんだから少なからずお兄ちゃんに気があるよ。しかもお母さんが直接きっかけを作ったんだからこの人ただ者じゃないよ」
「そうなんですか? 先生」
「私はどこにでもいる少し見た目が幼い成人女性ですよ」
そうかなー?
「嘘つき。そんなのが守護霊なんだからただの人間じゃないのは確定してるよ」
「夏樹さん、そうやってすぐに決めつけるのはよくないですよ」
「私は先生が私の敵なのかそうじゃないのかはっきりさせたいだけです。さぁ、早くあなたの素顔を見せてください。さぁ! さぁ! さぁ!」
「夏樹、先生は普通の人間よ」
「お母さん!!」
はぁ……もう帰っていいかな?




