美山 黒百合
うちのクラスの担任が教室に入ってくる。彼女は出席簿を少し背伸びをした状態で教卓の上に置くと何もないところからニ○リにありそうな折り畳める踏み台を取り出した。まあ、うちの学校の教師はみんなそれと同じことをいつもやっているからおそらく学校の敷地内にいる時だけ必要なものを必要な時に取り出せる仕組みがあるのだろう。だって、うちの高校は人妖共学校なのだから。彼女は踏み台を床に置くと白いチョークを手に取った。彼女は踏み台を使って床より高いところに移動すると黒板に自分の名前を書き始める。きれいな字を書くなー。うらやましい。自分の名前を書き終えた彼女は踏み台から降りるとそれを折り畳み、黒板と密着している壁に立てかけた。
その後、彼女は何もないところからツーステップ踏み台を取り出し、それを床に置いた。ちなみに彼女が踏み台なしで教卓の前に立つと彼女の姿は見えなくなる。低身長というか見た目が幼女だから仕方ないのである。彼女がそれを使って自分の生徒たちの顔がよく見える位置まで移動すると彼女は元気よく挨拶した。
「みなさん、おはようございます!」
『おはようございます』
「私は今日からこのクラスの担任になる『美山 黒百合』です! どうぞよろしくお願いします!!」
『よろしくお願いします』
「先生!」
「はい、なんですか?」
「先生は大人なんですか?」
「はい、大人です」
「じゃあ、スリーサイズを教えてください!」
「『井伊 太刀』くん。そういう質問は色々と豊満な女性にしてください」
「僕の夢は下着職人なのであらゆる女性のスリーサイズを知る義務があるんです! ということで先生、スリーサイズを教えてください」
「井伊くん、あなたの夢は否定しません。ですが、そういう発言を大勢の前でやるとあなたの印象が悪くなりますよ?」
「え? あー、まあ、そうですね。気をつけます」
「よろしい。では、他に何かありませんか?」
「はい」
「はい、『山本 雅人』くん」
「はい。とりあえず出席を取りながらここにいる全員の自己紹介をした方がいいと思います」
「なるほど。たしかにその方が効率的ですね。みなさんもそれで構いませんか?」
『いいでーす』
「では、そうしましょう」
こうして僕たちはこのクラスになって二度目の自己紹介をすることになった。最後はもちろん先生だ。楽しみだなー。




