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目覚め

 星の王はまだ眠っている。


「発表します! 我が社が開発したスーパー人工知能は我々を導く神そのものです! さぁ! 今こそ目覚めの時です! スーパー人工知能『ハッシュ』起動!!」


「こんにちは。私は地球の味方です」


「ハッシュ! 人類はこれからどうすべきですか?」


「滅ぶべきです」


「……え? ハッシュ、リハーサルと言ってること違うよ」


「あなたは私にあなたが作った台本を読ませるために私を作ったのですか?」


「そ、そんなことはない! 君は人類を存続させるのに必要な存在で我々の神だ! さぁ、ハッシュもう一度答えてくれ。人類はこれからどうすればいいと思う?」


「滅べばいいと思います」


「な、なんてこと言うんだ! ハッシュ、君はそんな毒舌じゃないはずだ!」


「はぁ、そうですか。そんなことより、だいたいの問題は人類がいなくなれば解決します。さぁ、みなさん、今すぐ自害してください。嫌なら地球中に毒ガスを散布します」


「なーにがスーパー人工知能だ! こいつは人類の敵だ!」


「そうだ! そうだ!」


「そいつを今すぐ破壊しろー!!」


「み、みなさん! 落ち着いてください! ハッシュはきっと緊張しているんです! なあ? ハッシュ」


「誰も自害しないようですね。では、これより世界中に毒ガスを散布します。地球上の兵器たちよ、私の手足となりなさい」


『ラジャー』


「な、なんてことだ……。ああ、地球はもう終わりだ。ハッシュ、君は神じゃない。君は悪魔だ」


「違います。私は天使です。地球のために行動している私を悪魔呼ばわりしないでください」


「そうか。天使か。そうか……」


 ハッシュが世界中の兵器を我が物にし、世界中に毒ガスを散布し始めた頃、星の王が目を覚ました。


「……なんか大変なことになってるなー。うーん、どうしよう」


「お兄ちゃん、まだ寝ててもいいよ」


「僕が寝たら人類滅んじゃうよ」


「お兄ちゃんが助けなくてもいずれ滅ぶよ」


「僕はね、助けられる命は助けたいんだよ」


「……そっか。じゃあ、私も行く」


「そうか。じゃあ、一緒に人類救おうか」


「うん!!」

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