猫憑き女か
それはある雨の日にやってきた。
「ここにやつがいるのか……」
彼女はジャコウアゲハの羽でできた服で全身を覆い隠し、音もなく暗殺対象を殺す。そう、彼女は眠っている雅人を殺しに来たのだ。
「……うーん、困った」
彼女は雅人が作った結界のせいで庭に入ることさえできずにいた。
「早く帰った方がいいですよ、こわーい妖怪たちがもうすぐここにやってきますから」
猫憑き女か……。
「帰るわけにはいかない」
「仕事と自分の命、どっちが大事なんですか?」
「仕事だ」
「そうですか。では、私は今からあなたを殺します」
「やめておけ。お前では私に勝てない」
「そうですか。では、猫化しますね。にゃーん!」
猫耳とシッポを生やしたくらいで私に勝てるわけがな……。
「ん? 待て。シッポの数、多くないか?」
「まだまだ少ない方ですよ。ちなみに目標は十本です」
シッポが五本ある化け猫と戦ったことはないが化け猫では私の動きを見切ることはできない!
「あっ、そうそう、私は猫化した時、あなたの命をすでに奪っています。まあ、どうやって殺したのかは教えませんけど」
「嘘をつくな! 私はまだ生きているぞ!」
「じゃあ、私の手の中にある『これ』はいったい何なんでしょうね」
「そ、それは! 私の心臓じゃないか!」
「はい、そうです。これはあなたの心臓です。あっ、倒れた。はぁ……もう少し頑張ってほしかったなー。さてと、猫缶でも買って帰りますかねー」
なんだ? この化け物は……。まあ、いい。私の体はたくさんあるから必ずどれかはやつを殺せるだろう。
「うーん、一応魂にマーキングしておこうかなー」
終わった……。もう勝てない……。おしまいだ。
「よし、マーキング完了。じゃあ、またね、殺し屋のお姉さん」




