残り三つ
希望のかけらは三百五十八個集まると『希望』になる。まあ、絶望のかけらは単体で『希望』をボコボコにできるんだけどな。
「えー、僕の分身たちが手分けして探してくれたおかげで残りは三つとなりました」
「ふーん、そうなんだ。それで? お兄ちゃんは希望になって何をするの?」
「うーん、そうだなー。絶望を封印しようかなー」
「お兄ちゃん、封印っていつかは破られるんだよ」
「そうだなー。じゃあ、間引くか」
「うん、それくらいでいいと思うよ」
「よし、じゃあ、残り三つ、絶望のかけらに見つかる前に迎えに行こう」
『おー!』
「夏樹、鬼姫、童子以外は家で待機していてくれ」
『えー』
「えー、じゃない! 絶望のかけらは神かそれ以上の強さなんだからそれ未満のやつらがいくら束になっても勝てるわけないだろ!!」
「とかなんとか言ってるけど、要するにお兄ちゃんはみんなのことを守りながら戦える自信がないからお兄ちゃんが死なない限り絶対に割れない結界が張られてるこの家にいてほしいんだよ」
「夏樹ー、なんでそれ言うんだよー」
「言わないと不安になるからだよ」
「そうかな?」
「そうだよ。ねえ? みんな」
『うんうん』
「ほらね」
「そうか。まあ、その、なんだ。ちょっと行ってくる」
『いってらっしゃい!!』
「ん? 引き止めないのか?」
「みんなお兄ちゃんなら大丈夫だって分かってるんだよ」
「そうか」
僕なら大丈夫……か。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
「ええ」
「はい」
『いってらっしゃーい!!』
行こう。そして必ず全員生還しよう。




